《夜に生きるも昼に生きるも》島杜澄は弟からの報告を受け、歓楽街に向かっていた。別に赴く必要などなかったのだが、上司のすこぶる機嫌が悪く、適当な理由をつけて出てきたわけだ。
瞠と正反対の浅黒い肌、大きな瞳に童顔、平均的な身長、唯一似ている身体的特長があるとしたら垂れ目であることくらい――だが、趣味は多少似ているらしい。ショートボブの黒髪、その一部を金髪に染めていた。
スーツにトレンチコートという服装には些か不釣り合い――否、警察には相応しくない派手な髪色であるが、そもそも警視庁特殊犯罪対策部、人体変異薬物対策一課にはこういったファッションが許されている。
『アロハシャツにジーンズだろうが、耳にピアスが沢山ついていようが仕事さえしていれば文句は言われない……優秀だけど、それくらい変わり者が多いのよ。変異薬物一課は』
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