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    StarlightSzk

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    #ダンキラ版ワンドロライ《ソーダ》(2021.07.31) PUダンサー まひる、望、シキ

    【シアターベル】夏祭りの裏側で しゅわ、しゅわしゅわしゅわ。
     独特の形をした瓶から注がれた液体が、この日の為に借りたジョッキの中で泡を弾けさせる音がする。
    「これを見ると、夏!って感じがするよネ☆」
    「そうだねえ。ラムネと言ったら夏のイメージが大きいし、実際に飲んでも気持ちがいいからね」
    「ぼん、聖人。見とれているのは構わないけれど、せっかくふたりに見てもらいたい試作品が出来上がらなくなっちゃうよ?」
    「それは困るな。はい、創真」
    「グラッツェ♡ 聖人。さて……」
     バー・カンパネラの次のテーマは「夏祭り」。他のゴールド生にも手伝ってもらっていくつかの出店を用意するほか、お祭りの屋台で食べられそうなものをアレンジしたメニューを提供する。
    「さっきのぼんのわたあめパフェは、日向くんが見たら喜びそうだねえ」
    「デショ?! って言いたいとこだケド、あれは発案者がまひるんなんだよネ☆」
    「ふっふっふ。お兄さんは知っているよ、その発案を受けてぼんは夜な夜な頑張っていたからねえ」
    「もう、知ってたならわざわざ言わなくてもいいのに~!」
    「ごめんよ、ぼん。創真のサイダーモヒートも、いつもとちょっと違うんだよね?」
    「うん。夏祭りだから、聖人が実家で仕入れてくれたこのラムネにミントの葉を飾ってから……それっ」
    「あ」
     グラスの中に、とぽん、と投げ込まれた割り箸の先。透明に映える赤が見えて、聖人と望が声をあげた。
    「もしかして、りんご飴?」
    「その通り。夏の甘酸っぱさと爽やかさをかけあわせた、その名も『サマーナイトメモリー』さ♡」
    「なるほど。これなら屋台の甘味をふたつ一気に味わえるってことか。考えたねえ、創真」
    「褒め言葉をありがとうと言いたいところだけれど、これを始めに見せてくれたのはシキなんだ」
    「ジャノっち?!」
    「試作品を蛍に持っていったんだけど、部屋にいなくてね。代わりにシキに頼んだら、少し飲んでから隣に置いておいたりんご飴を、こう」
     ジェスチャーで、どぼん、といれる振りをする創真が若干苦笑いを浮かべる。わからなくもない、と聖人も同じように笑った。
    「独創的だったけど、やってみたら美味しかったからそのまま採用したんだ」
     マドラー代わりにりんご飴が刺さったままの割り箸をくるくると回す。
    「さあ、召し上がれ」
    「いっただっきまー……ええっ?!」
    「んん?」
     ふたりの反応を他所に、創真は微笑んだままでとんでもない一言を口にした。
    「言い忘れていたけど、聖人発案でロシアンルーレットとしても楽しめるようにしてあってね」
    「おや。もしかして、引いてしまったかい?」
     のんびりした声を遮るように、がん、とジョッキが少し強めに叩きつけられる音が響いた。
     
    「もォ~! 梅干しも混ぜてるなら先に言ってよネ!!」
     望の声が響く今は、バー・カンパネラの三日前。
     個性豊かなメニュー達はこうした研鑽の末に出来上がり、当日お客様たちのもとへと届けられた。
     
     バー・カンパネラはお客様を非日常へ案内する場所。
     そう、たとえ――
    「なんじゃこりゃあああ!!」
    「すっっっぺえええええ!!」
     こんな声が響き渡るほどに新世界への扉を開くようなことがあったとしても、である。
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    StarlightSzk

    DONE【晶蛍】ほしあかりのワルツ
    22.3.10 9章配信2周年「#星空の下のふたり」
    「おやすみ」
    「おやすみなさい」
     瞼を閉じても、そこにもう闇はない。
     
     晶が『エトワール・キャッスル』などと呼んだ僕たちの拠点。そこには最低限の屋根しかない。故に三人が並んで寝転ぶと誰か一人はその恩恵に預かれない。雨が降った場合は別としても、星の輝きが降り注ぐなんて素敵じゃないかと晶が言ったために屋根が拡張されることはなかった。何よりあのとき僕たちは拠点を作り続けてくたくただった。だからこれ以上屋根が広がることもなかった。それだけの話だ。
     ともあれ、その屋根がない位置で寝る係が今日は僕だった。
     寝返りは最低限しか打てないが、方向を間違うと晶と鉢合わせる。晶は左にいるから右を向いて眠るんだと身体を硬くしていたものの、人間たるもの眠気とともに力が抜ける。そのうちに仰向けになり、そうしてついに左へと寝返りを打ってしまってから、ハッと気がついた。目を開ければあの主張がうるさい――見た目は整った顔が間近に広がってしまう。それはなんだか心臓が落ち着かなくなりそうで嫌だった。嫌でも数日前に言われたあれこれを思い出してしまうから。ああ、けれども彼だって寝返りを打っているかもしれない。その場合それは彼の愛しのマイ・エンジェルに向けられていることだろう。ノエルも大変なことだ。先程も「君を危険から守るために抱きしめて眠るよ!」なんて言い出して足蹴にされていたというのに。
    2023

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    StarlightSzk

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    「おやすみ」
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     瞼を閉じても、そこにもう闇はない。
     
     晶が『エトワール・キャッスル』などと呼んだ僕たちの拠点。そこには最低限の屋根しかない。故に三人が並んで寝転ぶと誰か一人はその恩恵に預かれない。雨が降った場合は別としても、星の輝きが降り注ぐなんて素敵じゃないかと晶が言ったために屋根が拡張されることはなかった。何よりあのとき僕たちは拠点を作り続けてくたくただった。だからこれ以上屋根が広がることもなかった。それだけの話だ。
     ともあれ、その屋根がない位置で寝る係が今日は僕だった。
     寝返りは最低限しか打てないが、方向を間違うと晶と鉢合わせる。晶は左にいるから右を向いて眠るんだと身体を硬くしていたものの、人間たるもの眠気とともに力が抜ける。そのうちに仰向けになり、そうしてついに左へと寝返りを打ってしまってから、ハッと気がついた。目を開ければあの主張がうるさい――見た目は整った顔が間近に広がってしまう。それはなんだか心臓が落ち着かなくなりそうで嫌だった。嫌でも数日前に言われたあれこれを思い出してしまうから。ああ、けれども彼だって寝返りを打っているかもしれない。その場合それは彼の愛しのマイ・エンジェルに向けられていることだろう。ノエルも大変なことだ。先程も「君を危険から守るために抱きしめて眠るよ!」なんて言い出して足蹴にされていたというのに。
    2023

    eyeaifukamaki

    PROGRESS愛をみつける
    ②と③の間の沢北side
    ネトフリ公式ので、萌え散らかしたww
    これ聞いて、ちゃんと深津さんに愛されてるよって思ってるけど、このさぁきたくんは相当自信をなくしておりますww
    ちなみに深津さんは沢北ファンの前では一緒にいないようにしてるので、深津さんと沢北ファンとの接点がなくて、みんな沢深推しなのに誤解されたまま。
    誤字脱字確認用
    『カズがノアとアシスタント契約を結んだらしい』

    それはチーム内でもすぐに噂になった。でも、誰もあまり驚かない。それは深津さんがそういう人材に適してる事を意味していた。まだ早いんじゃないかという意見も聞こえたが、概ね、みんな納得してこの事実を受け入れた。ただ、深津さんはみんなから好かれてる。

    「カズがいないと寂しい」
    「エージ、カズはいつ帰ってくるんだ」

    みんな口々に俺にそう言ってきて、深津さんの情報を聞き出そうとする。でも、そんなのは俺が知りたい。誰よりも深津さんは俺を避けている。これから深津さんの話を聞くことができるのは、俺以外の誰かから。

    なんで?
    どうして?
    俺が嫌だった?
    好きじゃなかった?

    でもよくよく考えたら、深津さんから好きって言われた事がない。高校の時に、俺から告白して、無理矢理体を繋げて、それで今までずっと上手くやってきたから忘れていた。行動で示してたつもりだったけど、馬鹿だな、俺は。深津さんの気持ちをちゃんと聞いたことがない。自分が頑張れば、深津さんは自分のものにできると、ずっと思って行動してきた。それはそれで間違ってはいないけど、それに言葉が伴ってない。深津さんの気持ちも聞いてないし、俺だって、最初の一度きりでそれ以来、ちゃんと気持ちを伝えてない。全部、何もかも、俺の勢いと想いだけで成り立っていた関係だった。だから、今になって、なんで?どうして?と、根本的な疑問しか考えられない。普通なら“好き”が大前提にあって、それとは別にここが嫌だとか、こうしてほしいとか、そういう具体的な問題が出てくるもんだ。でも最初から言葉が足りてないから、何が嫌なのかも分からない。頑張ることだけをやり続けていた俺には、追いかける術を持っていない。正直、これからどう対処すればいいのか、どう動けば正解なのか、全く分からない。動いたら動いたで、何もかも裏目に出そうで、それが原因で本当に深津さんを失いそうで、その恐怖が付き纏って何もできなくなってしまっている。深津さんがいなくなって、十日経ったあたりから、俺のファンも異変に気づき始めた。情報収集は俺より優れているから、もう、どういう状況かも把握している。心配そうに聞いてくるのを、困った顔で返す事しかできなかった。
    2204