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    StarlightSzk

    @StarlightSzk

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    DONE【晶蛍】ほしあかりのワルツ
    22.3.10 9章配信2周年「#星空の下のふたり」
    「おやすみ」
    「おやすみなさい」
     瞼を閉じても、そこにもう闇はない。
     
     晶が『エトワール・キャッスル』などと呼んだ僕たちの拠点。そこには最低限の屋根しかない。故に三人が並んで寝転ぶと誰か一人はその恩恵に預かれない。雨が降った場合は別としても、星の輝きが降り注ぐなんて素敵じゃないかと晶が言ったために屋根が拡張されることはなかった。何よりあのとき僕たちは拠点を作り続けてくたくただった。だからこれ以上屋根が広がることもなかった。それだけの話だ。
     ともあれ、その屋根がない位置で寝る係が今日は僕だった。
     寝返りは最低限しか打てないが、方向を間違うと晶と鉢合わせる。晶は左にいるから右を向いて眠るんだと身体を硬くしていたものの、人間たるもの眠気とともに力が抜ける。そのうちに仰向けになり、そうしてついに左へと寝返りを打ってしまってから、ハッと気がついた。目を開ければあの主張がうるさい――見た目は整った顔が間近に広がってしまう。それはなんだか心臓が落ち着かなくなりそうで嫌だった。嫌でも数日前に言われたあれこれを思い出してしまうから。ああ、けれども彼だって寝返りを打っているかもしれない。その場合それは彼の愛しのマイ・エンジェルに向けられていることだろう。ノエルも大変なことだ。先程も「君を危険から守るために抱きしめて眠るよ!」なんて言い出して足蹴にされていたというのに。
    2023

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    REHABILI距離をはかる、ふたりで歩む練習(エチュード)の話。
    いすさん(twitter: @ chair_waltz)の【嫉妬しちゃった晶、何か言う訳ではなくいつもより少し強い力で蛍くんをぎゅうっと抱きしめる(引用)】という呟きから広げた誤解ネタ。晶くんは自己完結を悪い方に働かせるとそのまま動けなくなるフシがあるので、縋るようにして抱きついてきそうだなと思うのです。
    【晶蛍】エチュードをふたりで「……驚かせてすまなかったね、ではまた明日!」
    「ちょっと晶」
    ばたん、と目の前で扉が閉まる。自室と外を区切るそれで隔たれた先、話したかった相手はきっともう隣室に戻っているのだろう。
    が……ひとまず先にどうにかしなくてはならないことがある。
    「蛇ノ目君」
    「はい、なんでしょう」
    「君は今何かを見た?」
    扉の木目を見つめながら問う。おそらく向こうも窓を見つめたままだろう。
    「ボクは声を聴いただけですねぇ。君の慌てたような声と、紫」
    「ならいいんだ。話はそれだけだよ」
    「……フフ、わかりました」
    この部屋で余計な会話はない。その意図を込めたつもりが、切り捨てるような言い方になって些か後悔する。しかしそんな場合でもない。
    晶が人目も憚らず大胆な行動に出るのはそう珍しいことではない。だから人の部屋に踏み込んで突然強く抱きしめてきたのも大目に見ることにしよう。
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    REHABILI【晶蛍】ひかりの温度
    スターライト・アキラ1周年おめでとう(遅刻)
    晶は自らのことをストレートに認めるのが得意だ。それがいいことだろうと悪いことだろうと、自己流の解釈によって昇華する。
    いつだって輝ける自信がある彼だから、自分が誰かを『照らす』などと言えるのだろう。
    僕には、とても出来ない。

    「それは、どうだろうね」
    試合で久方ぶりに発動した晶渾身のキラートリックを見た僕が浮かない顔をしていたのを、晶が見逃すはずがなかった。寮に帰ってからわざわざこちらの部屋にやってきてまで水を向けられる。
    彼を見習ってストレートにそう溢した僕の言葉は、誰でもない晶自身に掬い取られた。
    「どうって、晶がわかることじゃないでしょう」
    「いいやわかるさ。君はとても優しく包み込む光の持ち主だ。キラートリックと同じようなね」
    手を出して、と言われて手のひらを上にして出せばそこに躊躇いもなく手のひらを重ねられる。目で合図を出され、従った。
    癒しの光。
    怒れる者へ、悲しむ者へ、平穏への願いを。
    生きとし生けるものすべてが、らしく生きることが出来るよう。
    祈りのこもったそれは灯りがついた部屋の中でもわかるほどの輝きで、ふわりと無数に散らばって消えた。
    「うん、身体が温かくなった!あ 957

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    MOURNING晶蛍/本音が口を滑ったら何を言ってるの? 僕が君と離れても生活していけることは君だってわかっているでしょ。晶はまったく本当に僕がいないと何も出来ないんだから、ちゃんとひとりで自立してよね。大人になった後まで僕がずっと一緒にいられるとは限らないし君にだってずっと一緒にいたい誰かが現れるかもしれないでしょ? ああ、チームでって意味じゃない。 プライベートを君がどうしようと君の自由じゃないか。君がずっと結ばれたい相手と巡り合ったならそれはお祝いしなくちゃいけないからね。だから何度言わせるのかな? 僕にだって僕の人生があるように君にだって
    「もういいよ、蛍」
    なにがさ。
    「すべてはこの俺の願いなのだから君は何も考えなくていいというのに、相変わらず優しいな、蛍は」
    このどこをどうとったら、
    「君の人生のなかで、ここまで俺と友であることを選んでくれている。それが答えだろう?」
    晶……君って本当に
    「だからもう一度言うよ。君を支えたいんだ、蛍」
    本当に……バカだよね。
    こんな、いつすべてを失ってもおかしくない僕を支えるだなんて。
    けれども、どうしてかな。
    君と一緒にいる限り、いつでもすべてを手に入れに行ける気もするんだ。
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    MEMO晶蛍/ご機嫌斜めな蛍くんを見ている晶くん(2021.04.08)俺は、彼に口では勝てない。
    何を言おうがひらりと身を翻すかの如く鮮やかに反論を寄越す。すべては自分の意に沿う展開になるよう裏で手を回し、弁を重ねる。それを純粋に凄いと思っているのは本当のことだったけれど、ときどきそれが悪い方向に働くことも知っていた。
    「晶? 何もしないならこの部屋から出ていってほしいんだけど」
    本を読む横顔が明らかに苛ついている。俺がなにか言ったわけでもないのにこうなっているのは、どうしたってこの直前にいた場所が影響していた。
    剥き出しの欲望が渦巻くあの箱は、普段は穏やかな彼の口数をぐんと減らした。
    反論する気も起きないようなのだ。もう。
    だから神経だけを擦り減らしてこの寮に帰ってきて、寝るかと思えば読書をして精神の安寧をはかる。このパターンはもう読めていた。何を言っても彼は聞かないのだろう。

    口では勝てない。
    だからせめて、その横顔が穏やかなものになるまでは傍にいさせてくれないか。

    「……晶?」
    怪訝な顔がこちらを向いたところでさっそく傍にいるだけでは済まない行動に出てしまったけれど、触れた唇のかさつきからナイトティーという名案を思いついたので、それでよしとして 504

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    TRAINING【大人の魅力(創真&聖人)】秘境は夢か幻か
    2021/4/3ダンキラ版ワンドロライ【温泉/例のタオル/幻】
    実物に触れたことのないコーチが精一杯の想像を広げたら、ただのシュールな一幕になってしまった。あと私が聖人さんをどういう目で見てるかバレるやつ。すみませんでした。
    そう、その日俺は聖人に誘われて彼が兼ねてから行きたいと行っていた秘境へとやってきたんだ。ここはとても眺めがいい露天風呂があるんだよと笑う彼に髪はちゃんと束ねてからねと促すと、わかってるよと言いながら服を脱いで腰にタオルを巻いた。
     ちょっと待って、とそのまま今にも風呂へ向けて歩んでいきそうな背へと声をかける。
    「聖人。温泉なんだからタオルは巻いちゃいけないんじゃない?」
     俺がそう問いかけると、いつものようにはてという顔をされる。俺まで一緒に小首をかしげてしまった。そうじゃない。
    「これから湯舟に浸かるのに、共同浴場でタオルはマナー違反だよ」
     もしかしたら聖人はゴールドハイムの湯舟にもタオルを巻いて入っているのかもしれない。そうだとしたらいくら寮長権限と言っても止めさせなくては……なんて思いながら服を全部脱いだ俺の横で、聖人はまだタオルを取らない。
    「……聖人?」
    「ふっふっふ……創真がそこまで言うなら仕方ない」
     くるり、振り向きざまにその手がタオルの結び目へと伸びた瞬間――
    「な……っ?!」
     辺りを強い光が包み込み、そこで俺の意識は途切れた。
     
    「は……っ! あぁ……」
     見 1503

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    MAIKING晶蛍/メモからのサルベージ。きっとお付き合いしたて。蛍は、腹を括ると静かになる……ような気がする。
    前にそう伝えたところ「それは晶でしょ」と返された。そうだろうか。そうなのかもしれないが、蛍のことについても撤回するつもりはないからお互い様ということになる。
    とにかく、蛍が腹を括ってしまった。俺としては、喜ばしくも戸惑う方向に。
    「蛍……気分が悪くなったらすぐに言うんだよ」
    「うん……きっと、平気だと思う」
    両手の手のひらを頬の輪郭に沿うように触れさせ、指先でそっと固定する。
    正面から見据えた彼の視線が、下から上へと動いて俺を捉えた。
    「大丈夫かな?」
    「……するなら、早く」
    「ああ」
    目を閉じてぴとりとあわせた唇には、自分と同じかそれ以上の熱さを感じた。
    そのまま、いち、に、三秒。無事引き剥がされずに済んだところで角度を変えてもう1度。ぷちゅ、と音が鳴った。いち、に、三秒。
    これだけなのにみっともなく息があがってしまっている。それは相手が君だからなんだと訴えるために目を開けると、こちら以上に目元を赤く染めた蛍が口を自らの指先でおさえていた。
    「…………」
    そのまま言葉がでないらしい彼の指を手ごと掬いとる形でどかして、三度くちづける。交わ 528