キコルから譲られたチケットを手に、カフカは思案する。キコルからは「レノでも誘ったらどう?」と言われたものの、市川には既に予定があることを告げられており候補からは除外。他に誘えそうな人……と思考を巡らせ、副隊長の顔が浮かぶ。あの人なら、とダメ元で足を彼のいるだろうトレーニングルームへと向けた。
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保科が誘いを受けたのには二つほど理由がある。一つはカフカを採用した当初の目的のため。もう一つは、ここで断ったら亜白隊長を無遠慮に誘うだろうという懸念から、であった。そして見事二つ目の懸念は大当たりで。
「断られたら亜白隊長を誘おうかとも思ってたので、良かったっす!」
清々しいまでの笑顔で応えるカフカ。その様子に若干苛立ち背中を強めに叩いてやる。
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