春眠春の暖かさに私は眠ってしまう。
春の短さに、私は空を見上げてしまう。
「泣いていません!空を、見上げていただけです」
「なんだ。また応星に泣かされたのかと思ったぞ」
「違いますよ……なんなんですか。最近そればっかりですよ。応星、応星って」
「気にするな。ただのお節介だ」
白珠、わけがわからない顔で首をひねっている。
鏡流が背中を預ける。
「私が背中を預けても良いと思える相手はお前だけだ」
「景元も丹楓も、応星だっているじゃないですか」
「あいつらでは話にならん」
「もう、強情なんですから」
白珠、鏡流にもたれる
「分かってますよ。私も、こうやって鏡流と背中を合わせているときが大好きです」
「空に返してくださいね」
滅多なことを言うな。心の中に生まれた言葉は決して口には出さなかった。
2948