魔法がとけたら「あ、やっと帰ってきた」
久しぶりに死神局に出向くと、ドミニクの自室の前で姉と顔を合わせた。姉はドミニクの部屋の扉に背中を付け腕を組んでいる。顔を合わせる――というか〝待っていた〟というほうが正しいだろう。
姉と会うのも久しぶりだ。元々互いに仕事も忙しい。部下をまとめる立場でもあるし、大死神様の候補として学ばなければいけないことだってたくさんある。
「ああ、姉上。久しぶりであるな」
「あんたが全然死神局に帰ってこないから、あんたの代わりを任されたことだってあるんだから」
「それはすまない」
考えてみれば最後に死神局に帰ってきたのは、数か月前だったような。連絡自体はメールで事足りていたし、本当に大切な仕事は必ずこなしていた。文句をいわれるようなことはしていないはず。
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