アルバムに差し込む春光 春風が花々を揺らしながらその匂いで季節の訪れを告げ、暖かな陽射しは優しく降り注いで照らすものを長閑に温めている。そんな穏やかな環境の中を、隣を歩く少女と手を繋いでゆっくりと歩く。
見渡す限りの花園を一歩一歩楽しみながらなんでもない会話をして、時折握り込んだ手の感触を確かめながら笑い合って、そんなふうにたまの休日に遊びにきていたのだ。
そして今は丁度太陽が一番高いところに登ったので、ちょっとした休憩時間をとっている。大きな木の木陰にピクニックシートを置いて、朝に早起きして用意したお弁当を広げた。
「んー!?おいしい!!」
「そう?よかった」
彼女はお弁当を広げるなり目を輝かせて、けれどもどれを食べるか逡巡した後に、大きな唐揚げを一つ口に運んだ。するとふやけていた表情がさらに緩んで、大きな舌鼓を打ってくれた。彼女は食事をする時いつも幸せそうに食べるけど、その表情だけでもどうやら彼女の口にもあったみたいとわかってとても安心した。
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