こびりついた本当/嘘の時間「わたし、もう死んでもいいんです」
柔らかな寝台の上、銀糸の混ざった金色の絹がシーツ一面に広がっている。その上には透き通るような白い肌と、人形のように整った顔の頬がほんの少しの朱を纏わせていて、鈴を転がしたかのような声音が自身の耳朶を震わせた。
「……日付、変わってたんだ」
縫い留めた身体は細くしなやかで、後ほんの少し力を強めれば、簡単にぽきりと折れてしまいそう。だから壊れ物を扱うよりも尚慎重に、部屋の光を反射する潤んだ蒼玉の瞳を覗き込む。
するとその瞳の輝きはまるで宝石のようで、眦から溢れる水滴をゆっくりと拭って口に含んだ。
「別に、そんなの関係ないですよ」
途端に口に広がったのは、甘くも、苦くもない、どこか物寂しく名残惜しいもので。
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