【理銃】千本桜負けた。この戦は負けたのだ。
主の首が討ち取られたと早馬が駆け、戦が終わりを告げた。
真っ暗な森の中、木に背を預けハァ…ハァ…と浅い呼吸を繰り返す。止血を施した脇腹を片手で押さえるも出血が止まらず、一歩も動くことができなかった。
春と言えど、夜は凍える。先ほどまで燃えるように熱かった体も、徐々に体温が下がり震えだしてきた。出血により貧血を起こしている頭はふらふらと揺れ、こうべを垂れた視線の先は真っ赤に染まる自身の腹と手。
忍である俺は、乱世の世で一國の城主に仕えていた。力強い瞳で真っ直ぐと民の未来を思い遣り戦う主に仕えられる俺は、なんて幸せ者なのだろうと思った。召し抱えられてから、主の為に身を賭して戦った。それが俺の生きがいだった。
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