オズ→シリ 右手に月を、左手に太陽を。
陽の光を忘れた暗い夜空には恒星を。
四六時中が白夜状態のロストガーデン。ネオンの光が落ちる地面を進む足取りは、いつの間にかワルツのリズムになっていた。
この高揚感は、まるで秘匿されていた骨董品をオークションでセリ落として我が物とした時のよう。最初は黙って付いてきていたシャムスも、普段とは違う様子にさすがに怪訝な顔を隠さない。
「――ずいぶんと機嫌がいいじゃねぇか」
「ふふ。そう見えるかい?」
実際ノヴァと対話してからのシリウスを支配している感情は、愉悦。
かつて、この世で一番シリウスの感情を揺さぶった人が作り出したもの。それが人智を越えた形を成し、今なお成長を遂げている。この気持ちが愉快じゃなければ何なのだろう。
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