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    うづきめんご

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    うづきめんご

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    4部3章読んだらだめでした

    #エリオ腐R
    elioRotR.
    #ウィルシャム

    ウィルシャム あの頃から、別の命を抱きしめると温かいことを知っていた。
     光の届かない地下の街。人工的な明かりで保たれ解放されることを知らない澱んだ空間の中。目を閉じても横になっても己の体を包むのが寒々しい空気だけだったが、唯一の相棒であるビゼルが寄り添ってくれるようになってからは、その小さな温もりと鼓動はシャムスの無頼を慰めてくれた。
     抱きしめて、頬を寄せればするはずのない日向の匂いがする。暗い世界の中で、ビゼルがいればまだ地に足をつけて歩けるような気がしていた。
    「――ビゼル?」
     ふと目を覚ますと、いつもすぐ手に触れるはずの毛並みがなくてその名を呼んだ。
     にゃお、と想像よりも遠くから返事が返ってくる。
    「ん?」
     音にならないほどの小さな足音を立てながら、ビゼルが寄ってきた。シャムスによく懐いている彼は名を呼ばれたのがよほど嬉しいのか、しっぽを立てたままスリスリと体を押し付けてくる。シャムスも手を伸ばして漆黒の毛並みを撫で――と、そこでシャムスは違和感に気が付いた。
     ビゼルを抱いていないのに、あたたかい。
    「――!」
     そこから、自分を抱きしめる腕に気が付くまでそう時間はかからなかった。
    「ウィ、ル……?」
     そうだ。ここはロストガーデンではなく、エリオスタワー。太陽の光が降り注がず星の輝きも見えない地下ではないし、ウィルがいる。
     先に収監されたルカに習い隔離部屋に軟禁状態だったシャムスだが、ビゼルに会わせてやりたいしサウスの部屋に来るだけならいいでしょう、とウィルがブラッドに頼み込みシャムスの歓迎会が決まったのだった。
    「いや、でもこれは違うだろ」
     ウィルとアキラとレンも来てブラッドたちが様子を見守る中わいわいと騒ぎ、どうせなら泊まっていけばという話が出て、じゃあ一緒に寝ようよとウィルが言いだし。一緒のベッドに入ったところまでは覚えている。
     それからなぜ、背後から抱きしめられているのか。
    「えーと、」
     少々身を捩ってみたが拘束が取れる様子はなく、背後のウィルが起きる気配もない。ビゼルのアーモンド型の瞳が、困った顔をしているシャムスのことを不思議そうに見つめている。
     まあ、いいか。
     シャムスは抵抗を諦めた。ウィルはちっともビクともしないし、体温に包まれた体はぽかぽかして再び眠気に襲われてしまいそう。
    「おやすみ、ビゼル」
     少しだけ体勢を変えて、ウィルの胸に頬を寄せる。あたたかいそこは、確かにひなたの匂いがした。
     にゃあ、と返事をしたビゼルもシャムスの首元で丸く収まる。
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    てゐと

    DONEフォロワーさんからもろに影響を受けたので夏のジュドニコを教師パロで書かせていただきました!
    以前保健室の冷蔵庫にニコが自分のものを入れているってフォロワーさんのツイート、本当に大好きですこ~し拝借させていただきました…すみません、お許しを。まあでもいいですよね、最高。

    ジュード→養護教諭
    ニコ→生徒

    余談ですがジュードせんせが言っている「担任のアイツ」はあの人のことです
    とけだす、泡沫「うわ、あつ……」
     誰が何と言おうとこんなにも暑いのに、空調の世話に慣れない中途半端な、夏になりかけの季節だ。校舎の窓という窓が開けられて、何が好きで我慢大会をさせられているのかと涼を求めて保健室の扉を開けたのに。ニコが風の流れを作ったので、消毒液の匂いが混じった生暖かい風が頬をさっと撫でる――いや、頬をじわりと撫でつける。
    「なんだ、ジュードはいないのか」
     廊下とは違い、締め切られた空間の暑さには本当にうんざりしてしまう。文句を言いながらもペタペタと上履きを鳴らすニコの額を、つうっと汗が流れていった。拭うこともしないまま、我が物顔でずかずかと進む先には冷蔵庫があって、ニコは迷うことなく上段に手を掛けて、まずは冷気を浴びた。それからアイシング用の冷却材や氷嚢用の氷の山を手のひらで掻き分けて探し出したのは、プラスチックの黄色いパッケージだ。ジュードはあまりいい顔をしないが特に止めもしないので、保健室の冷凍庫には定期的に氷菓を忍ばせることにしている。食べては入れて、食べては入れて。随分と奥に仕舞い込まれていたところを見るに、随分とそれもご無沙汰になってしまったようだ。
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