お星様がそう言ってる夕方に差し掛かっても和らぐ事のない暑さとジメジメした湿気に顔を顰めながら出勤したトワは、エアコンの効いた涼しい空気を想像しながらルーストの扉を開けた瞬間に目に入った薄緑色に足を止めて目を瞬いた。
薄暗い店内で空調の風にさらさらと揺れている細長い葉をもつそれは笹か。
その側ではレイとジュンコ達がわいわいと賑やかにテーブルを囲んでいる。
「あ、トワ」
トワに気付いたレイが手招きをしてくるので寄っていくと、アラタが数枚の折り紙を差し出してくる。
「トワも手伝って」
「何、これ」
「何って笹飾り作ってるのよ」
ホナミが手を動かしながら言う言葉に首を傾げる。
「笹飾り」
「商店街で用意してたのが1本余ったからってくれたんだよ、折角だからルーストでも七夕祭りやろうと思って」
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