愛とか恋とかやめてくれあれはまだ高一の秋。
騎士の実習で行った森の奥。
「ぐっ……!」
「お前のっ、炎がっ!!!」
「ぃってぇ……良いぜ、気が済むまで刺せよ」
青い炎に恨みを持つ騎士団の男を、
「ぅ……ぁ……」
「え、おい!!」
あいつが黒い炎で昏倒させた時に遡る。
『愛とか恋とかやめてくれ』
「あぶねぇだろ!?志摩!!」
昏倒した男を抱き留めて怒鳴る。刺し傷の血がその男にも垂れるが、頭から倒れるよりはマシだろう。そもそも刺したのはこいつだし。
それよりも、と顔を上げると、まろい垂れ目に柔らかな口角が現れる。男の後ろに音もなく現れて黒い炎を刺した志摩は、教室と変わらず笑っていた。
「あはは、奥村くんのがやばない?」
「大丈夫なの知ってんだろ!」
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