狂い咲く花は風を乱吹く16『…マスター、いるか？』

「！！ヴリコーダラ！良かった、無事？今どこにいるの？！」

『ああ、そう遠くにはいないと思う…それでだ、マスター。

其処は危険だ、今すぐに安全な場所に逃げて欲しい』

「ヴリコーダラ…君は、スヨーダナの味方になるの？」

『……』

「…ごめんね、本当は君の事を応援したい、けど」

『ああ、解ってる、解ってるさ…マスター、ありがとうな。そして迷惑をかけちまって本当に悪ぃ。俺もビーマ（俺）も…』

「……」

『…せめて安全な場所から指示をしてくれ。なるべく、お前に危害が及ばないように善処はする』


「……ビーマ」


ーーーーーーーーーー『…じゃぁな、マスター』



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本来、愛は良いものであり、欲も良いものである。
だが愛と欲は切り離して考えるべきものである。

この王は巨万の命に無限の愛を振り撒き「虜」にした。


そして数十億の魂をただ自分（ひとり）の為に、己の欲の為だけに散らした


人畜災害


大地は割れ、海は血になり、
太陽は黒く死にたえ、赤月が顔を見せる



『間違いない、この反応はビーストクラス』


ビーストIII/L（Longing：情景 ）

神々に作られた愛と戦慄の傀儡（兵器）


本来、ドゥリーヨダナは「人間」だが、このスヨーダナは「神性」の機能が取り込まれていた。

ドゥリーヨダナの座を破壊し、存在そのものを不安定にした事により、「無辜の怪物」が強くなった。神々の力も取り込み、魔（カリ）の側面も強く出た合成獣。



「……」

ビーマは静かに追い求めていた想い人が獣へと堕ちた姿に、ただ唖然としていた。

先ほどダ・ヴィンチから聞いたドゥリーヨダナの座が破壊され、Data lostしたという言葉が今も響いている。

混乱と絶望、そして後悔

「…ビーマ！」

藤丸立香の声が聞こえる。その声にハッとして振り向くビーマ。いつもなら爽やかな笑みを貼り付けられるのだがその余裕がなかった。

『立香君、霊子演算装置（トリスメギストス）から新たな演算結果が来た。今から新たなサーヴァント達を緊急召喚するよ』


女教皇ヨハンナ、クリームヒルト、ジェームズ・モリアーティ、徴姉妹、そしてウィリアム・シェイクスピア