ここにいればそれでいい。「イヌピー、今日何時まで?」
「今日か? ドラケンが客先から帰ってきたら上がれる」
「んー、そっか。じゃあ終わったら連絡くれる?」
「ああ」
仕事場に突然現れたココはそう言うと、そのままどこかへ行っちまった。相変わらず自由なヤツだ。
離れて、オレがこうやってヤンチャするのをやめて仕事を始めてしばらくしてから再会して。まるで何事もなかったかのように変わらない接触をしてくるココが、不思議でしょうがなかった。
メシを食いに行こうと誘われ、部屋に来いよと誘われ、挙句の果てには職場まで来る。バイクショップだし来ることに文句はねえけど、普通にそうするから本当に、謎だった。
「ただいまー」
「おかえり、ドラケン」
「おー。待たせて悪かったな、修理に手こずっちまってさ」
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