7月に出す🐺🦇同僚水 俺はあの時一度死んでいるーー
次に起きた時には、道端に倒れていて、急激に喉が渇いていた。ここがどこかもわからず、水を求めて彷徨い歩いていると、近くを通りかかったご婦人が心配そうに声をかけてきた。ありがとうございます、と言いかけてそちらを向いた時、口の中で犬歯が疼いて、こいつを食えと本能が命令してくるのを感じた。
直感的に、このままここにいてはまずいと判断し、心配してくれたのに申し訳ないと思いつつ何も言わずに走って逃げた。
「はあ、はあ………」
だいぶ遠くまできたから流石に追っては来ないだろう。もっとも、心配して声をかけた男が何も言わずに逃げたのだから、そもそも追ってくるわけないのだが。狭い路地裏に潜り込んで、ビルの壁に背中を預ける。
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