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    aman0itohaki

    TLに放流しにくいやつとか

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    aman0itohaki

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    現パロ 一回破局したジュナカルがよりを戻すまで
    花屋を開くのが夢の☀️さんに資金提供を申し出た⚡️くんがフラれた数年後、花屋を開くとメールが届く話 あまあま

    クリスマスまでにもう一度 元恋人のカルナが念願の花屋を始めたというメールが届いた。今年の夏のことだ。
     彼は職を転々としながら(時には危ない仕事もしていたようだ)資金を貯め、ようやく貸店舗を借りることができたという。自分との別れ話もそれが原因だったから、内心憎々しくもあるが。アルジュナは未練たらたらなので、その連絡に飛び上がって食いついたのだ。彼がどういう気持ちでそれを送ったのか、想像もつかないまま。もしかしたら彼も自分に未練があるのかも、と残り香にたかるようにメールボックスを開けて、そう長くもない文を読み耽った。
     住所を見ると、案外近場にその貸店舗はあった。郊外の、大通りから一本逸れた寂れた路地だ。添付されていた写真を見る限り、そこは相当古い建物だった。彼が手入れをしてよく磨き上げても、経年劣化は誤魔化せない。一階の店舗部分は小綺麗になっているが、二階の居住スペースのみすぼらしさは傍目にも明らかだった。それに影の位置からして、北向きの家屋だ。壁に嵌った大きなガラス窓は美しいが、扉の白塗りのペンキは彼が塗り直したようで不自然に明るく、他のくすんだ色彩とミスマッチに見える。白くうつくしい彼の微笑みも、日陰に覆われて不釣り合いだ。
     どうせすぐ潰れる、と、アルジュナは薄情にもメールを閉じた。彼の貯金はこれで底をついただろう。写真に写っていた彼の表情はどこまでも穏やかで、こんな顔、見せてくれなかったくせにと子供じみた不機嫌になる。
    「冬には、迎えに行くか」
     ぽつりと漏れた言葉の、傲慢さに自己嫌悪する。彼の意志をまるで尊重せず、彼を手に入れたいと思う自分が心底嫌だ。その癖彼が自分の物になるはずがないと信じ切っているから、彼に優しくなんかできない。付き合っていた頃もそうだったから、周りは二人の破局に当たり前だとため息をついていた。すぐ別れると思っていたのに案外保った、と言われて、アルジュナはふざけるなと思った。アルジュナの唯一はカルナだし、カルナの唯一はアルジュナだ。どれほど喧嘩をしても、どれほどすれ違っても、それだけはお互い分かっていたはずなのに。アルジュナが花屋への資金提供を申し出たのを断った彼は、「それなら出て行く」と言って、二人の部屋をあっさり去った。だからきっと、カルナが悪かった。本当のところは、彼の矜持を傷つけたアルジュナにも責任があるのだけど。
     それでも一度くらいは店を見に行ってもいいんじゃないか。本当に潰れるとは限らないのだし。
     そういう当たり前な気持ちもあって、葛藤の末。彼の店を訪れたのは、年末の近づく冬の夜になってしまった。しんしんと冷え込む空気に身体を縮こまらせながら、すっかり暗い路地を行く。こんな寒い晩に、彼に会おうと思い立ってしまった。自分は何なのだろうとぼんやり、懐かしさに似た自己嫌悪を拳に握りしめた。寒さのせいで、人が恋しくなったのかもしれない。月明かりのない新月の晩だ。ぽつぽつと立つ街灯の奥は真っ暗な闇で、頰を切る風がぞっとするほど冷たい。
     カルナの経営する花屋は、果たしてそこに建っていた。電灯のオレンジがかった暖かい光が看板を照らし、軒先にはポインセチアが出ている。ああそういう季節だったな、とアルジュナは思って、店の前で立ち止まった。彼と恋人関係を解消して数年しか経っていないのに、もうそういうイベントとは縁遠くなってしまっている。
     自分がどうせすぐ潰れる、と断じた店は、煌々と光を灯していた。店内には色とりどりの花と緑があふれ、外の寒々しい闇とあざやかな彩りの対比が眩しいほど。店内にはちゃんと客がいた。なんだ、繁盛しているんじゃないか。ほっと息を吐くと同時に、彼は自分の手を取らないだろうと静かに落胆する。だって彼は、一人で大丈夫なんだから。あんな風に去っていって、自分の手なんか、とるはずがない。
     立て付けの悪い扉が開き、店から出てきた客とすれ違いに店内に入る。図々しくも入り込んだアルジュナに、黒いエプロンを着たカルナは驚いたように目を丸くして。反射のように、「何を買いに来た」と言い放った。アルジュナは「何も」と言いかけて、緩慢に首を横に振る。扉はゆっくり閉まり、店内の温度は少し下がったようだ。
    「久しぶり、だな」
     何が久しぶり、だ。ふられておいて、未練がましく訪ねて。気まずくなって、「繁盛しているようでよかった」と、店内を見渡した。狭い店内の半分はみっちりと花で埋まり、もう半分は植物の鉢で埋まっている。僅かに空いたスペースに彼の椅子と作業台とレジスターがあって、そこに青いブランケットが置かれているのに気がついた。付き合っていた頃、アルジュナが揃いで買ったものだ。自分は、とうに捨ててしまったのだけど。
    「順調か」
    「ああ」
     彼は深く息を吐いてから、狼狽えることなく頷いた。それから「見ていくか?」と、店内の花や鉢を指差す。
    「いや……」
    「そうだな。お前には徒労だ」
    「どういう意味だ、それは」
     すぐに昔と同じ口調に戻って苦く笑う。彼は小さく頷いて、「何をしに来た」と、相変わらず単刀直入に聞いた。全てを台無しにするために、アルジュナは「もう、店は潰れたかと思った」と、笑いもせずに彼を侮辱する。
    「立地もよくなかったし、」
    「余り馬鹿にするな」
     案の定、ぴしゃりと彼は言い放った。アルジュナはゆっくり、項垂れて「すまない」と、小さく呟く。苦しくなった雰囲気に、いつ立ち去ろうかと思案した。でもアルジュナはカルナに未練があった。まだ、帰りたくはない。しばらく店内に重苦しい沈黙が降り、彼は白い手で赤い薔薇を何本か摘む。無造作に花瓶から抜き取って、「オレは一人で大丈夫だ」と言った。
    「お前はオレを何だと思っている」
    「すまな、」
    「聞きたいのは謝罪ではない」
     作業台に薔薇が置かれる。ぱちん、ぱちん、と鋏で茎を切る音が響く。途端に恐ろしくなって、言葉が出なくなった。自分がめちゃくちゃにしたくせに、その結果を目の当たりにして足がすくんでいる。本当は、もっと言いたいことがあった。まだ未練があるとか、好きだとか、お前の気持ちはどうなんだ、とか。そういう肝心なことを何一つ言えないアルジュナに、カルナは「お前には期待していたのだが」と、冷たく呟く。包装紙を取り出して、薔薇をくるくると巻いていた。アルジュナはぎこちなく首を傾げ、口を開く。
    「……何を期待していた?」
    「今となっては無駄なことだ」
    「好きだ」
     脈絡もなく、叫んでしまった。彼は薔薇を包む手を止め、「何だと」と低くうめいた。
    「す、……好きだ。未練がある」
     開き直って、店の中を大股で歩く。狭いからすぐに彼に近づいて、距離の近さに怯んだ。しかしそのまま彼の、薔薇を掴んだ手に指を絡めて。自分の手の冷たさに驚いた。「お前の気持ちはどうでもいい」と口が滑る。
    「本当は、ここが肝心なんだろうな。私はお前の気持ちが何であろうとお前が好きだし、隣にいて欲しい。お前を侮辱する手段を取っても構わないくらいには、そうだし。それがお前を台無しにすることも分かっている。切花と一緒だ。どうせダメにするのに、近くにいて欲しい」
    「よく喋る」
     カルナは目を細め、「手を離せ」と静かに言った。アルジュナはゆっくりと離れ、彼は手早く麻紐で花束の根本をくくる。口を開きかけた彼の胸に、カルナは薔薇を押し付けた。
    「オレの気持ちだ。分かるだろう? 色男」
     薔薇は三本。確か花言葉が本数で変わるはずだが、詳細なことは覚えていなかった。静かにパニックになるアルジュナに、カルナは「致し方ないな」と呟いて。少し彼の上半身を引き寄せて、作業台越しにキスをした。数年ぶりに触れた唇は随分荒れていて、少し放っておきすぎたかと反省する。ちゅ、と濡れた音を立てて、二人が離れて。我に返ったアルジュナが彼を強く抱きしめ、そのまま冬の夜は更けていく。
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    aman0itohaki

    DONEかわいい下着を着けているのが☀さんにバレる⚡くんの現パロです
    秘密は服の下「それは何だ?」
     シャツ姿のアルジュナにカルナが尋ね、アルジュナの脳裏に「終わった」の四文字が浮かぶ。ベストを外した姿をカルナに見られた。それだけで終わる理由は単純。下にフリルのついたブラジャーとキャミソールを着けていて、それが透けているからだ。職場の換気扇の音がからからと虚しく、じっとりと粘ついた汗が首筋を通り過ぎていく。暑いから、人がいないから、これまで大丈夫だったから。そんな理由で服を脱いだ自分が、愚かで情けなくて恨めしい。心臓がどくどくと音を立てている。頬がかっと熱くなる。
     昔からかわいいものが好きだった。同時にそうと認識されるのが嫌だった。隙を見せてはいけないアルジュナは、かわいいランジェリーを身に着けることでそれを解決した。フリルのついた男物のピンクのブラジャー。揃いのショーツ。キャミソール。レースのついたそれを身に着ければ否応なく気分が上向く。誰にもバレてはいけないという危機感はあったが、そんなことよりかわいいものが優先だった。その結果、こうしてカルナに秘密がバレたのだが。なぜか高鳴る胸を押さえ、ぐう、と奥歯を噛み締める。
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    tako8megane

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    ってフォロワーさんに壁打ちレベルで語っていたら、
    神(ゆーやさん)が素敵小説を書いてくださりました!!(五体投地)
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    以下は自分メモ用妄想ツイコピペ
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    3枚目)
    家の所有地の湖で、婚約者がまさか水浴びしてるとは思わなくて遭遇してしまったイデアズ♀が読みたい(パロディ)🐙は人魚だという事を隠してるとおいしい
    4枚目)
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    💀「あ~~~~~~~~なんでそんな積極的なの」
    🐙「人魚なので」

    8枚目)
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