バトル 一回戦を終え力は出し切った。あとは結果を待つしかない。
僕らBusters Brosはまた一番手であとの対戦は傍聴席から見る事になった。
「お前、凄かったな」
隣に二郎。いち兄とケンカ?してから気まずいのか僕に付き纏ってくる。今までだったら「にいちゃん、オレがんばったよ‼︎」アピールでいち兄の周りをまとわりついていたのに今回はちょっと距離を取っている。まあ気持ちはわからなくはないから仕方なく文句言わずに隣に居させてやる。褒めてくれたし。
「なあ、アイツら怖くね?」
眼下ではシブヤとヨコハマのバトルが繰り広げられている。シブヤはいつものように人を食ったような態度だけど前回よりも熱が入っているように見える。ヨコハマは…僕には殺意しか見えてこないんだけど。普段とは違う怒気をビリビリ感じる。
「うわーあれ、人殺しそうじゃん。ヤクザばっか」
二郎の心の声が口から漏れる。
「まぁそうなんじゃない」
「よくあんなのと一緒にいるよな、お前」
「うるさいな」
ステージが真っ暗になる。三人が浮かび殺気立った鋭い眼差しで空を見つめる。息を吸う音の後「零四五……」
「ぅゎ……」
カッコいい!なに?呪文⁈
♩
「にいちゃん、あれ見て」
「ん?三郎?」
「目、キラキラさせて下見てんの」
「あ?ああ。入間さんか?」
「いや、多分リリックの方」
「おお、そうか。ガチガチに踏んでるもんな。あーいうのはカッケーよな」
「あーまぁそうなんだけど……」
韻の話じゃない。どうせゲーム脳になってるんだと思うんだよな。あとで唱え出すんじゃねーかな。
「えっとーゼロ、ヨン、ゴ、チュー……」
げ、もう唱えてんじゃん。
「な、なんだよ」
「いや、今の好きそうだよな、お前」
「べ、別に、好きとかないし」
はい、狼狽すぎアウト。
♩
ディビ曲後のバッチバチのバトルも火力が強い。なんだよヨコハマかっこいい。普段からまあまあカッコいいけどバトルになると圧倒的な迫力がある。いや、うちのが強いけど。
……今日銃兎の部屋行こうかな。さっきの呪文教えてほしいし。ちょっとワクワクしてたら
「三郎、次ヨコハマと当たるかもしれないから組み合わせ決まるまでうろちょろすんなよ」
といち兄に釘を刺されてしまった。
いいや、あとで電話してリリックだけでも教えてもらお。