ぺろぺろガチャリと玄関の施錠が外される音がした。
フローリングの上にぺたりと座って洗濯物を畳んでいた半子はすくっと立ち上がり、玄関先で革靴を脱いでいる青年に声をかけた。
「おかえり、利吉くん」
「ただいま帰りました。お出迎えありがとうございます」
「今日も一日お疲れ様」
「半子さんもお疲れ様です」
利吉と呼ばれた青年はビジネスバッグを床に置き、ニコニコと微笑んでいる半子を正面から抱き締めた。
どうやら彼女は先に入浴を済ませたらしく、微かにフローラルとシャンプーの甘い香りがした。
「お風呂、入っちゃったんですね」
「うん、ごめんね?」
「どうして謝るんです」
「一緒に入りたかったのかな、と思って」
利吉の胸に顔を埋めて半子はぽつりと呟いた。
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