人はそれをなんと呼ぶそれは心臓を覆うどろどろとした醜悪ななにかだった。
心臓の周りに膿のようにずくずくと溜まり続け、勝手に肥大化したこの醜悪ななにかがいつか口から溢れ出してしまうのではないかと、なす術のない俺は戦々恐々とする事しか出来ない。
清々しく嫌味の無い高慢な態度で煽る絶対的自信を
平気で名前を呼べる距離に近づける馴れ親しみやすさを
パーソナルスペースに踏み込み懐柔する狡猾さを
しがらみの無い文句で小競合える真っ直ぐな素直さを
穢れの無い憧れと崇拝を込めた屈託の無い純粋な瞳を
あの人が求めた父性につけこんだ大人の巧妙さを
追いかけられていると信じて疑わずに翻弄する傲慢さを
目にする度に、その醜悪ななにかが俺の中で増殖を続ける。
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