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    理銃のスケベばっか考えてます
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    たまこさんのイラストからSSを描かせていただきましたー
    雨に濡れた理銃がチューする話。大雨に当たるとなんだかテンション上がるよね。そんな理銃のお話です。

    #理銃
    riflingAGunBarrel
    #SS

    ぜんぶ、雨のせいそれは、突然の事だった。
    銃兎は、理鶯と共に彼のキャンプ地に向かっていた。理鶯の先導で獣道を進み、雑談を交わしながら歩みを進める。ようやく中腹を越えた頃、ふと頬に小さな水滴が落ちるのを感じた。それの意味に気がついたときにはもう遅く、みるみるうちに大粒の雨が二人に降り注いだ。
    天気予報では今日雨が降るなどいっていなかった気がしたが、この季節や森の中ではそんな言葉は通用しないのだろう。せめて近くに大きな木でもあれば、と思い周囲を見渡してみるも、雨を防げそうな木などどこにもない。
    銃兎は雨に打たれながら理鶯の判断を仰ぐ。すると彼は行き先を指差し、先へ進むことを示していた。「少し急ぐぞ」といい、彼は足取りを早める。こういう状況に馴れている彼の判断は頼もしい。銃兎はその背中を見失わないよう、懸命に道を進んでいった。


    やっとの思いでキャンプ地にたどり着いた頃には、二人揃ってびしょぬれになっていた。理鶯にテントの入り口を開けてもらい、その中へと入り込む。
    「うははは! もう下着までびっしょりですねえ」
    「ふふ。ああ、そうだな」
    ジャケットは勿論、シャツも、手袋も、靴下や下着までぐっしょりと水分を含んでいるのがわかる。こんなにも雨に降られたのは、いったいいつぶりだろう。いっそ不快感よりも、謎の高揚感が込み上げてくる。
    そう感じているのはどうやら銃兎だけではなかったらしい。あとからテントに入って来た理鶯の口角も、少しだけ上を向いていた。
    奥へ入るよう促され、銃兎は入り口で靴を脱ぐ。靴から足を引き抜いた瞬間、ぐちゅ、と嫌な音がした。どうやら、靴の中も水たまりができてしまっているらしい。
    湿った靴下のまま進むと、シートの上を歩くたびに指の間を水が通り抜け、気持ちがいいような、気持ちが悪いような変な感じがした。後ろを振り向くと、入り口から一直線に足跡が残っている。
    銃兎はマイクとスマートフォンを机に置いた。幸い、雨によるダメージはないようだ。眼鏡にも水滴がついてしまい、視界がおぼつかない。何かで拭いたくても、ポケットにいれていたハンカチもじっとり濡れてしまっているため使い物にはならなさそうだ。
    まあ、理鶯のテントの中でなら危険なことも起こるまい。仕方なく眼鏡も外してしまうことにした。
    銃兎はジャケットを脱ぎ、カラーピンとネクタイを緩めて首元を解放する。依然シャツは体に張り付いたままだが、一部を解放するだけでも不快指数はぐっと下がった気がした。
    濡れてしまったものをどこに置こう、と考えていると、背後から理鶯の声が届いた。
    「そこにかけておくといい。少しは乾くだろう」
    「ありがとうございます。貴方のも、かけておきますね」
    「ああ、助かる」
    眼鏡を外していて見えないものの、彼が微笑んでいたのは声の調子から何となく感じ取れた。彼は入り口で、二人分の靴を逆さまにして立てかけてくれているようだった。さすがは元軍人、こういった状況での対応に迷いがない。
    銃兎は自分のジャケットにハンガーを通して骨組みに吊るし、次いで無造作に置かれた理鶯の上着も同じように隣に並べた。こうして比べると、大きさの違いが一目瞭然だ。無論、自分のスーツは細身のものを選んでいるから余計そう見えるのだろうが。
    雨に降られたことは気に入らないが、こうして新しい事実を知ることが出来たのだから、良しとしておこう。
    理鶯の方からは、何も聞こえない。おそらく何か作業をしているのだろう。雨の中のキャンプで必要なことなど、繁華街に暮らす銃兎には皆目見当もつかなかった。きっと手伝いが必要であれば声がかかるだろうし、素人が下手に手を出さないほうがいいだろう。銃兎は自分の中で、そう結論付けることにした。
    ばつばつと、屋根を叩く水音が室内に響く。まるで攻撃でもしているかのように激しく打ち付ける雨の音が、この場を満たしていた。
    そういえば、こうして自然の音を聞くのはいつぶりだろう。自宅では窓を閉め切ってしまうから雨が降っていても音など気にならないし、車の中だって基本的には無線を付けているから、こんなにはっきりと聞こえることはない。
    理鶯はいつも、こういった自然の音に耳を傾けているのか。そう思うと、激しい雨音も少しだけ愛おしく感じられた。
    「……ん」
    ぱたり、ぱたり。テントの中でも、雫の奏でる音が聞こえてきた。出所を追ってみると、それは壁にかけたジャケットからだった。銃兎と理鶯の二人の袖口から、それぞれ雨粒が落ちていく。
    銃兎はおもむろに理鶯のジャケットの袖口をぎゅうっと握ってみた。含んでいた水が絞られ、その場に水たまりを作りだす。
    やってから、室内でするべきことではなかったな、と少し後悔して、その水たまりを足先で押さえてやった。だがもう靴下は水分をめいっぱい含んでいるせいで、全く水を吸うことが出来ないようだ。どんなに動かしても、水たまりは小さくなることはない。
    あとで拭いておこう。ぼんやりと考えながら水たまりを弄っていると、背後に理鶯の気配が現れた。後ろを振り返ると、銃兎と同じくびしょ濡れの理鶯が銃兎をじっとみつめていた。その表情は少しだけ、野性味を帯びているように見える。
    雨に濡れたせいだろうか、いつもよりも互いの匂いを強く感じた。髪から滴る水滴も、濡れて張り付いたTシャツも、艶やかな肌を濡らしている水滴も、全てが理鶯の色気を引き立てている。これがよく言う、水も滴るいい男、というやつか。
    その端正な顔に見とれていると、また一歩距離が詰められる。背中にぴったりと体がくっついて、そこからじんわりと温かさが広がった。
    心地いい。それと同時に、銃兎は自分の体が冷えていたことに気が付いた。
    理鶯の手が、優しく頭を撫でる。髪に感覚などないはずなのに、その温かさは確かに届いていた。指先がうなじに到達し、互いの視線がしっかりと繋がれる。
    ふれたい、と思ったのは、二人同時だったらしい。どちらからともなく唇を重ねた。何度もその厚い唇をねぶり、ついばみ、追いかける。触れ合ったところから、火がともされていくようだった。
    逞しい腕が体を引き寄せ、さらに体が密着する。触れ合った部分は、身動ぎをするたびにぐち、と水音を立てた。二人の体温で温められた水分が体を伝っていくのがわかる。決して心地いいとは言えないが、どこか興奮を煽る感覚だ。
    「んッ、ん……りぉ、」
    彼の頭に手を添えて、もっと、と強請ってみせると、理鶯は舌先で銃兎の唇を優しく撫でた。口を少し開けば、待っていたと言わんばかりの勢いで、あたたかい舌がねじ込まれる。
    「は、んぁ、んう……っ」
    「ぅ、んん、は……」
    激しくなる二人のキスの音も、屋根にはじける雫が全てかき消してくれている。いつの間にか、恥じらいなどすっかり消え失せていた。それどころか、この雨の音に負けじと濃厚なキスを求め合う。
    今日の理鶯は、いつもより少し激しい。漏れ出る鼻息や舌使いから、気分が高揚しているのがわかる。その荒々しさが、銃兎の心を高ぶらせていった。
    大雨の密室、愛おしい獣と二人きり。そんな好条件を作りだせたのは、日ごろの行いの賜物だろうか。
    夢中になって理鶯を追いかけていると、胸元を理鶯の手が滑っていく。ぴったりと肌に張り付いたシャツは、その昂ぶりをありありと主張させてしまっていた。
    指先がそこに触れ、思わず小さく吐息を零す。それを理鶯は見逃さない。舌を絡め取りながら、胸の突起をちらちらと弄って見せた。
    「ん、んぁ、はぁっ……ぃお、んんっ」
    うなじに添えられた手に縋ってみれば、その手は愛撫を中断し、ネクタイを緩め始めた。そしてワイシャツのボタンに手をかけ、キスをしたまま器用にそれを外していく。自分の体が、その先を一気に期待を始めたのがわかる。
    たっぷりと濃厚なキスを交わしたのち、小休止とばかりに唇を離す。銀色の糸が二人を繋ぎ、その興奮度合いを見せつけていた。
    「ねえ、このままでは体が冷えてしまいますね」
    鼻先を擦りつけながら、銃兎は理鶯に問いかけた。理鶯の目は優しく細められるも、その視線には消えることのない熱がこもっている。
    「うん、このままでは風邪をひいてしまう。互いに温め合う必要がありそうだ」
    大真面目に見せかけた誘い文句に、思わず銃兎の口角が緩む。伝わる鼓動は早鐘を打っていて、腰に感じるのはその欲望に違いない。きっと、こんなやり取りなんてせずに襲い掛かりたいくらいなのだろう。
    銃兎はめいっぱいの愛おしさを込めて、彼の刈り上げた後頭部を優しくなぞる。それは銃兎だけが知っている、彼の欲望を高めるスイッチのひとつだ。銃兎はちゅう、と音を立てて理鶯の唇を奪い、めいっぱい吐息を含ませて答えた。
    「雨が上がるまで随分かかりそうですし、じっくり、時間をかけて温まりましょうか」
    期待してるのは、自分も同じだ。伝わっているんだろうな、この鼓動も、期待も全部。
    いっそ全て伝わってしまえばいい。愛おしいと思う心も、はしたない欲望も、理鶯を放したくないと叫ぶ独占欲も。だってここには、二人しかいないのだから。
    再び引き合った唇を貪りながら、二人は甘美な欲望へと身を委ねていくのだった。
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