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    uosan09

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    uosan09

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    ジェン葵♀

    「買い物に付き合ってほしい」
     デートで訪れた新オープンのカフェで、生クリームたっぷりのパンケーキを食べながら葵が告げた。
    「珍しいな」
     ジェンティーレはよく、葵にプレゼントを渡す。それは花束に始まりアクセサリー、服飾、インテリア雑貨と、とにかく、ありとあらゆる物品をプレゼントする。紳士として当然だ、と頑としてポリシーを曲げないことは葵ももう、承知済みだ。   
     だから、支払いを済ませてくれることがわかっている買い物に、葵から誘うことなど今の今まで、一度たりともなかった。
    「で、何を買いたいんだ」
    ここで、何が欲しいんだ、と野暮な言い方をしないのも、ジェンティーレのダンディ流儀だ。
    「ブラジャー」
     可愛い恋人が突然放つ刺激的な単語に、思わず飲んでいたアイスコーヒーを吹きそうになった。
    「なっ……、こういう場で言うことか!?」
    「だってぇ……」
     やんわりたしなめてはみるが、顔は特に反省していない。葵は皿の上のさくらんぼをフォークで突きながら、モジモジしている。
    「だって……小さくなって……」
    「小さく?」
    「ジェンティーレが揉むからおっぱい大きくなったんだよ、それでブラが小っさくなったの!」
     カラン。ジェンティーレが右手を添えるグラスの中の氷が、タイミングよく冷ややかな音を鳴らした。
    「責任取って……可愛いブラ、選んでよね」
     頬をほんのりさくらんぼ色に染めて少しやけっぱち気味に、葵はフォークを置いてさくらんぼを摘み、口の中に放り込む。照れているのか拗ねているのかわからない表情が、いっそう可愛いくて仕方ない。そう感じたジェンティーレは、さっそうとスマホを取り出し、何かを検索しはじめた。
    「なに調べてるの?」
    「このあたりのランジェリーショップだ」
    「ショップ?」
    「下着専門店だ。少し遠いがあるな」
    「ええ〜、そこのイオンの2階とかでいいよ」
    「バカ言え。この俺にファミリーがたくさんいる前で下着売り場をウロつけというのか」
     言われてからきょとん、と葵は目をパチクリさせる。考えてもてもみなかった。しかし、
    「……それはそれで面白いかも」
    「オイッ!」
     精一杯の低い声すらも、なんだか愛おしく思え。葵はいつもの、弾けるような笑顔を見せた。
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