一年待って夏の暑い日に飲むビールは最高だと、目の前の上司はぐいとどでかいジョッキに入ったビールを呷った。プロヒーローになったとはいえまだ二十歳ではない俺は、それを横目に見つつウーロン茶を飲む。汗をかいたグラスに負けじと、ふうふう言いながら吹き出る汗を拭って、俺の上司、ことファットガムは熱々のたこ焼きを口の中にいくつか放り込み、はふはふと嬉しそうに頬張っていた。
「ビールとたこ焼きが最高に合うねんで。君にそれを教えてあげられるまで、あと一年やなァ」
あと一年。そう言いながら、柔らかくファットガムは目を細めた。
「そうっスね」
「君と飲めるの、楽しみやな」
楽しみだ、と俺も思う。こういう夏の暑い日だけは、普段はそれほど興味の湧かないビールとやらが酷く魅力的に見えた。
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