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    hiromu_mix

    ちょっと使ってみようと思います。
    短めの文章はこっちに投げます。

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    DONEワーパレ。
    ファ切で、4「星だけが見ていた」 不安そうな/分からない/期待した

    なんかこう、お題が綺麗すぎて、綺麗な話を書こうとして撃沈しましたw
    でもこういうシチュ好きです。
    星だけが落ちた、という記憶はある。
    山岳地帯でのヴィランとの追っかけっこ、捕まえた、という手ごたえと同時に、足もとが急に何もなくなる感覚。後ろから聞こえた叫び声。捕まえたヴィランを、それでもこのまま落ちたら殺してしまうと思って俺は、とにかく必死に背後に放り投げた。自分は、硬化で何とかなるだろうと思ったからだ。けれど、思いのほか落下時間が長く、そうしているうちに脳震盪を起こしたみたいに意識は飛んだ。

    そして今、目が覚めた。

    周りは闇だけれど、視界は一面の星。星明り、というどこかで見た言葉を唐突に思い出すくらい、それは明るく、眩しく見えた。目を眇め、ぶるりと首を振る。俺は記憶をたどり、今の状況を想像した。落ちたのは多分渓谷、転がり落ちたというより落下だったから。手のひらに触れる感触は砂利、岩。どこかからさらさらと流れる水音。指先、足先、確かめるように少しづつ体を動かしていく。硬化は落下のせいで気を失ってもぎりぎりまで保っていたのだろう、どこかを痛めた感じはしない。身体を起こし、俺は空を仰ぎ見る。着けていたインカムはどこかに落としたようで、ポケットに突っ込んでいた通信機器が、今回の唯一の犠牲だった。まあでも、生きていた、それだけでほっと息が零れる。少しだけ、ひやりとしたのが本音だから。
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    DOODLEワーパレ。
    オル相で、14「白い柔い熱い肢体」 せめぎあう/見下ろす/白い肌

    お題のわりにエッチにならずすみません、無力……
    冗談にしないで寮に移ってから、夜な夜な行われる飲み会を相澤はいつも上手にかわし、なんとなく断れずに酔っ払いに囲まれている私を、時々助けてくれたりもする。無理して最後まで付き合う必要ないですよ、と肩をすくめて呆れたように言うけれど、その言葉には本当に怒ったり呆れたりしてるときみたいな厳しさはなく、ただ、いつものヒーロースーツよりさらに緩い感じの部屋着と同様、いつもよりリラックスしてるのか緩い雰囲気で告げられる言葉は、ただ、私にどことなくくすぐったさを与えるだけで。そうだね、って返事をして。共有リビングから互いの部屋に戻るまでの短い距離が、私はとても好きだったりする。
    そうして時々、どうにも逃げられずに捕まってしまうのだろう、相澤がその飲み会の輪の中に居たりするときは、結局私も逃げられないので最後まで居るのだけれど。居酒屋で飲んでる時も結構酔っ払いになる彼は、寮だと帰る手間を考えなくていいと思っているのか、明日が休みだったりするとそりゃあもうぐでんぐでんになるまで飲んでいた。
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    DONEワーパレ。
    ファ切で、3「据え膳食わぬは恥」 
    思惑通り/乗せられて/イイ子のふり

    ファ切がエロくならない現象!?!?
    スーツを脱ぐときは車の後部シートに寄り掛かり、ジャケットを脱いでぐいと、ネクタイを緩める。それと同時に、ファットガムの口からは盛大なため息が漏れた。
    「最悪やったわ」
    「そう言わないでくださいっス」
    事務所の車を運転する切島が眉を下げ、苦笑するのがバックミラー越しに見えた。


    新年早々、緊急出動の連絡で事務所に呼び出されたと思ったら、スーツを着ろと渡された。年末の忙しさで全く体型の戻ってない身体に、とにかく早くと急かされて仕方なく少し緩いスーツを着込めばそのままタクシーに乗せられて、連れていかれたのは全然知らん、偉そうな人の新年パーティ。どうやらその人は、ファットガムの大ファンで、どうしてもとごねられたらしい、とそれを聞いたのは帰るころのことだったが。場の空気を読むのはまあ、得意な方だと思う。なんとなく着いた時点で状況は把握したファットガムは、いつものように、明るく楽しく周りを盛り上げ、笑わせ、かたっ苦しいスーツを我慢して纏ったまま100人ほどのパーティ会場内を巡って愛想を振りまくった。そこまでは、まあいい。
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    DONEワーパレ。
    ファ切で20「愚かで愛おしいあなた」虚勢を張って/痛くても/信じて

    エロくならなかったので自分でびっくりしてる。
    はじめてをぜんぶ何故かそのときは、いましかねえって、思ったんだ。

    明日は事務所の空調整備で事務所を一日閉鎖するからみんな揃って休みだって、ちょっと浮かれた気分でみんなで飲みに行った帰り道。いつもなら同じ方向の天喰先輩が、休みだから実家に帰るんだと駅のほうに行ってしまって、俺は、ファットと二人きり。せっかくやし二人で二次会する?って言われたので頷けば、近くの店はどこも満席だって言われて、じゃあ俺んちで飲もうって、ファットんち。

    こんなにも条件がそろうことなんてあるのかなって、俺は。ぶるぶる震える唇を、悟られないようにグラスに押し付け、その中の冷たくて甘い液体を喉に落とす。ファットが作ってくれたコークハイは多分、店のそれより少し薄かったけど、それでもこれから自分がしようとしてることを考えるだけでくらくらと、酔いが回るような気がした。ソファがあるけどファット仕様でデカすぎるから、俺は床の、毛足の長いラグの上に直接座ってソファを背もたれに、ぼうっと視線だけテレビに向けていた。深夜のお笑い番組は、俺の知らない芸人が映ってて、ソファに座ったファットがそれ見て少しだけ笑っている。普段はぽよぽよと柔らかそうな脚なのに、今日の日中に事件解決したせいで低脂肪になったファットの、筋肉質な太い脚が俺のすぐ横に投げ出されてて、俺の心臓はずっと、どくどくと走りっぱなしだ。この膝に頭を傾けたら。ファットは、どんな反応するんだろ。
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    DOODLEファ切で、10.雨よ、やまないで
    「唇に触れた ワイシャツ 濡れた髪」

    両片思いっぽい二人。
    傘の下には太陽が夕暮れの空が突如増えてきた雲で覆われ、暗くなったと思ったら激しく降り出した雨に、ファットガムは空を見上げて一つ舌打ちをする。
    やっと着なれてきたワイシャツが途端に鬱陶しくなって、ネクタイに指をひっかけ緩めながら、ファットガムは近くのカフェに逃げ込んだ。どこにでもあるチェーンのカフェは、ファットガムと同じように雨から逃れようと入って来た客も多くほとんどの席を埋めてしまっていたが、低脂肪の姿なのでどうにか取れた端っこの、窓際のカウンター席を確保して、ファットガムは一つ息を吐く。雨に当たった時間は僅かだ問うのに、濡れた髪からぽたぽたと雨のしずくが落ちた。
    「ついてへんわぁ」
    水と一緒に差し出された暖かなおしぼりで、雨でぬれた顔を拭けばすっきりする。こんなのオッサン臭いと思うが、まあもうオッサンに片足突っ込んでるので今更か。明日もこの姿で居なければいけないので、アイスコーヒーだけ頼んでファットガムは、激しく雨が打ち付ける窓をぼうっと見つめた。スマートフォンを見れば、着信が一件。その名前に唇が緩む。
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    DOODLEオル相で、4.予期せぬ出来事
    「唇が触れた 至近距離 書類」
    してみないと分かりませんばさばさと、相澤のデスクから書類が落ちていく。
    オールマイトは慌ててしゃがみ込むと、それを拾い上げた。頬が熱い。どくどくどくと心臓が全力疾走の後みたいに早くて、血液が大急ぎで巡っていくもんだから、身体中熱が籠ったみたいになっているのに頭だけは血が抜けてくらくらした。拾った書類は手の中に集めたが、それをまたデスクに戻すために顔を上げるのが気まずくて、オールマイトはしゃがみ込んだまま俯いて、じっと、手の中の書類を見つめる。

    多分。
    唇が触れた。

    頼まれた書類を途中まで作ったものの、フォーマットがこれで合っていたか不安になって、プリントアウトしたそれを持ってオールマイトは相澤のデスクまでやって来た。相澤はパソコンの上を高速で滑る手を止め、オールマイトのほうに身体を向けて、書類を受け取り。これで合っているが、でもここの書式がちがいますねどこかからコピーしました?と聞くので、どれどれとオールマイトは背を屈め。書類を覗き込むように顔を近付けたときに、顔をこちらに向けた相澤と、ひどく近くで目が合った。あと3センチの至近距離に相澤の顔がある。どうしてか、その距離をゼロにしたくなってさらに近付いた。相澤は逃げないで、それを受けとめた。そして、触れ合わせたのは。
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    DOODLEファ切で18.奪われた心
    「ディープキス 夜空 ルームキー」
    ※ヴィランパロです
    見えるのは夜の色最上階に向かう高速エレベーターの、目まぐるしくカウントしていく数字を切島は、睨みつけながら軽い浮遊感を味わう。手の中にはルームキーが一つ。突然、切島のヒーロー事務所に送りつけられたそれは、封筒には少し癖の字で宛名と。中にはこのルームキーと、ホテルの住所、誰にも言わないで来るようにと書かれたメモ。いたずらだろうと捨て置くにはこのルームキーはこの辺りでは一番の高級ホテルの最上階のものだったし、メモに『ファットガム』と走り書きされたサインを、切島は知っていた。
    だから来た。誰にも、言っていない。これが罠だとは思いつつも、誰かに告げたことで他の誰かを巻き込むのは避けたかった。
    柔らかなメロディーと共にドアが開く。切島は一歩、外側に踏み出した。夜の海みたいな濃紺の絨毯は、まだだれも踏んだことがないみたいになめらかで。そこを恐る恐る歩きながら、この階にたったひとつの部屋を目指した。本来であれば控えているはずのコンシェルジュたちには、切島が来るのと入れ替わりで階下に降りてもらっている。彼らは、この部屋を取った人間がどんな人かなんて知らない。たとえそれが、彼らにとってはとても紳士的な男だたとしても。
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    DOODLEファ切で、7.甘い夜明け
    「寝息 おはようのキス 枕」
    うたた寝と狸寝入りふ、と意識が浮上する。
    気を失うように寝ていたようで、片手に飲みかけのペットボトルを握りしめていた。多分時間にしては30分程度だろう。寝る前に朝日が出てきたなと思った空は、だいぶ白々としていて、背中側に窓のあるファットガムのデスクの上をぼんやりと明るくしていた。
    ペットボトルを置き、ガシガシと頭を掻く。最近、徹夜がきつくなってきた。今日みたいに二日も続くとさすがに身体にこたえる。この二日ですっかり身体は低脂肪になってしまった。
    ふわ、と漏れた欠伸をかみ殺して、とにかくカフェインで誤魔化すかと立ち上がれば、やはりこちらもすうすうと寝息を立てて、組んだ腕を枕にして切島が自分のデスクで寝ていた。ファットガムが寝てしまったのでつられたのだろう。着替える暇もなかったので、寒そうなヒーロースーツのまま。これはちょっとあかんやろ、とファットガムは手近なところを見回してみても、ちょうどよく身体に掛けられるものなどなく。仕方なく、自分の私服のパーカーを手に取った。まあ、ええか。若干の下心が自分に存在するせいで、こういう行為にあざとさを感じてしまう。いや、違うからな、他になかったから仕方ないんや、と頭の中で言い訳。
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    DOODLE罰符で、お題は「パンツと靴下になる環くん」

    しないと出られない部屋系。
    若干ふぁたま風味。ファ→環、みたいな感じかな。
    変化したのは俺の方ぱち、と目を開けたら、天喰の顔がやたら近くにあったので思わずファットガムは飛びのいた。
    「うえ!?」
    「あ、良かった、起きた」
    慌てる自分とは違い、ホッとした様子で天喰はそう言うと、なかなか起きないので心配しましたよ、と呟いて肩を竦める。なかなか起きない。つまりは自分は寝ていたということだが、然し寝る前の記憶が曖昧だ。確かヴィランを追いかけていたような気がするのだが、まさか捕物の真っ最中に寝落ちるほど寝不足ではないはずで。身体を起こしてよくよく周りを見つめ、ファットガムはぽかんと口を開けた。
    「なんや、ここ」
    真っ白い壁が四方を覆う。窓も扉もない空間だ。天井も床も同じ材質で作られているようで、それぞれの境界線がぼやけて見えるほどに真っ白だ。光源がどこなのか分からないが室内はやたら明るい。そもそも壁自体が発光しているのかもしれない。まぶしさに目を細め、ファットガムは起き上がると立って周りを見渡した。それほど広くはなく、4畳半くらいか。天井は、ファットガムが腕を伸ばすと簡単に届いてしまう高さだ。
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