ブランケット症候群「ねえ、虎杖くんて、夏油先輩と付き合ってるの?」
お互いのセーターの腕を掴み合って、そっちの方がよっぽど仲良さそうな女の子二人、瞳をきらきらと輝かせて物好きな質問をくれる。
「ンー、悪いけど付き合ってるわけじゃないんだよなー。なんていうか、セラピー?的な?」
セラピー。虎杖悠仁は最近、昼休みに二学年上の先輩、夏油傑に呼ばれては、その時の気分で連れ込まれた静かなポジションで、“吸われていた”。
毎日ではないが、背も体も自分より大きな夏油にすっぽりと後ろ抱きにされ、後頭部の辺りを中心に昼休みの時間いっぱいただただ吸われる。それだけ。
すっかり慣れてしまって考えてもみなかったが、一体セラピーが正しいのかも分からない。
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