穢き地よりカミは去り「ほんらい我々は神として人間にあがめられていたんだ」――「ゲゲゲの鬼太郎 青春時代」より引用
昔々のお話です。
まだ人間の寿命が今よりずっと長かった頃、彼らよりずっと前から地上で暮らしていた人類がいました。
彼らは今の人間たちよりずっと穏やかで、争いを好まない性質を持っていました。
しかし、新しい人類たちは違いました。彼らは血を、争いを、生きる為の略奪を厭わなかったのです。
人間だけではありません。苛烈な生存競争からは海でも、陸でも、空でも、この地球上のどこへ行こうと逃れることはできません。
旧い人類たちは一人ひとりはとても強い力を持っていましたが、争いとそこから生まれる「穢れ」を好まない性質からひとり、またひとりと森へ、地の下へと追いやられていきます。
中には彼らを「神」と呼び、信仰する人間たちも現れました。彼らがもし、本当の妖怪であればよかったのですが、旧人類――後に「幽霊族」を名乗る彼らは神や妖怪のような力を持ってはいますが、人間に近い種族でもあります。現人神になることはできても、信仰によって「神」になることはできません。もちろん、信仰を失うことで消滅することもないのですが。
この事態を憂いた者がいます。名を月夜見と言います。
〈中略〉
そうしてすっかり地上は穢れに満ち溢れ、ほとんどの生き物は百年でさえ、生きることが出来なくなってしまったのです。
おしまい。