みどゆめさっきから妙にご機嫌なユメに、翠は困惑する。せっかくの休日なのに、どうしてこの子と一緒にショッピングモールを歩いているんだろう。誘ったのは俺の方だけど、と数日前の自分の行いに後悔する。いや、でも、別に後悔したところで何も変わらない。だから余計気が滅入る。はああ、と深々とついた溜息に構わず、ユメがにっこりと笑いかけてきた。
「翠さま、疲れた、の? ユメの飲み物いる?」
「い、いやいいよ、俺が奢るって言ったんだし、それは、ユメくんが飲んでくれたらいいから」
「そう……?」
「う」
こてん、と首を傾げられて翠は言葉に詰まった。年下の後輩の男の子、とわかっていてもユメの今日の見た目はどこか女の子のようだったからだ。控えめに塗られたはずのリップがうるうるしている。ユメの手に余るくらいの大きさのカップから、ちょこんと伸びる緑色のストロー。生クリームが溶けだした飲み物は先ほどから減っていない。
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