猫の花通い 君に花束を猫の花通い
よく日が当たる二階の窓。
白いカーテンが風と光と遊んでいる。
窓辺の椅子に腰掛けて木々の隙間からこぼれる太陽に目を細めていると、トンッと軽い音がした。
視線を下ろすとそこには黄金の麦畑を連想させる柔らかな毛並みをした一匹の猫がこちらを見上げている。その瞳は鮮やかな翡翠のようで、遠い宇宙の星のように輝いていた。
その口には一輪の花が咥えられている。
「やあ、おはよう。今日も素敵な花をありがとう」
そう声をかけると、猫はまるで受け取れと言うように顔を僅かに動かす。猫が持ってきた花はそっと差し出した掌に乗せられた。
花を贈られた青年は大事そうに花を見つめ、そして伺いを立てるように空いている方の手を猫に差し出す。
50238