雨雨降られて~徳于の場合~どんよりとした曇り空の中、仕事の帰り道であろう、2人の男が歩いていた。
「于禁殿、先ほどの商談、上手くことが運びそうですな。」
「当然だ。私と龐徳が行って上手くいかぬことはない。」
「それもそうでしたな。さて、思ったより話が長引いたので、時間が遅くなっておりますが、今からどうされますか?」
「そうだな、早めに仕事場に戻るとしよう。今後の商談のまとめと次の手配をしなければなるまい・・・龐徳、どうした?」
于禁が仕事の話をしている最中、龐徳が何かに気づいたように、ふと足を止めた。
「・・・于禁殿、そろそろ雨が降ると思われるので、屋根のあるところへ参りましょう。」
「・・・雨が降るようには思わないが。」
「今は降らずとも、雨の匂いがいたします。じきに降りましょうぞ。」
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