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    契さん

    不穏が好きです。全部不穏にして食べます。よろしくお願いします。

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    契さん

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    全く分からん!!!

    #プロセカ
    puroseka
    #ワンダショ
    wish
    #不穏
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    if不穏セカシリーズ_ワンダショメインストーリー『_もしも、"最悪なショー"の答えだったら。』


    神山通りでえむ達に捕まった類は
    司のスマホの眩しい光に思わず目を瞑った。
    _シャラララ〜ン
    陽気な音が聞こえ、そっと目を開ければ

    「ここは、以前行ったあの……?」

    辺りを見回す間もなく、席に座らされ
    そこにいる全員の大好きな音がテント内に
    鳴り響いた。

    劇内で座長役を務める司が先程のブザーに
    負けないほどの大声で、第一声を発した。

    「錬金術師よ、オレはショーを作りたい!
    力を貸してくれないか?」

    「必ず楽しいショーにしてみせる!」

    希望に染まりきったその明るい声に
    錬金術師役のKAITOは
    仕方ないというように笑って、

    「ショーを……。
    それなら少しだけ力を貸すよ。」

    そこから道化や歌姫達とも協力し、
    ショーを作り始める物語が始まった。

    (…あぁ、君は…)

    _。
    __。
    ___。

    物語は進んで、終盤へ入っていく。

    「あぁ、こんな酷い失敗をするなんて!
    みんなお前達のせいだ!」

    類の心臓が不規則になり始めた。
    きっと彼らはハッピーエンドにさせてくれる
    そのためにこのショーを僕に見せてるのだから。
    そう心では分かっていても
    類はやはり独りぼっちの錬金術師に
    仲間は作れないと思ってしまう。

    「キミは、どうしてショーをやるの?」

    妖精が、座長に明るく問い掛ける。
    その答えが、未来が分かっているかのように。
    その問いに座長は少し目を見開いて、

    「……そうだ、オレは…」

    未来を期待し希望を抱いてしまう気持ちと
    過去に取り憑かれてしまうかもしれない不安が
    類の心を大きく揺さぶっていた。
    いっそこのまま時が止まってしまえばいいのかもしれない。
    そんな考えを否定するように座長_否、司は

    「オレは、あの日見た、ショーのスターのようになりたかったんだ。」

    『…ぁ』

    「妹と、オレに、その輝きを届けてくれた…
    あんなスターに。」

    『待ってくれ、』

    「オレは…オレは、みんなに輝きを届けたい!」

    『…やはり君とは、相慣れないのか。』


    ✻✻✻


    学校の屋上で類はドローンの試運転をしていた。

    「よしよし、順調だねぇ」

    せっかく上手く出来たのだから
    今日何処かでショーをすることにしよう。
    そう考えた類はラムネ瓶を片手に
    頭の中に地図を思い浮かべた。

    (交差点は…今日はお巡りさんが出掛けない日か。)

    (…あの広場は部活で使うようだし…)

    (………フェニックスワンダーランド、か。)

    いつの間にか空になったラムネ瓶を握り締めて

    「…やっぱり錬金術師は
    独りぼっちがお似合いなようだね。」

    お昼の終わりを告げる鐘が鳴った。
    だが類は教室に戻る気になれずに
    このままサボることにした。
    何もする気になれなくて
    冷たいコンクリートの上に寝転んだ。

    「僕はただ、みんなと旅に出たかったんだ。」

    錬金術師の最後の台詞は誰にも届かなかったが
    確かにショーの終わりを告げて、
    空気に混じって消えていった。


    ✻✻✻


    「司くんに寧々ちゃんにえむちゃ〜ん!
    いらっしゃ〜いっ☆」

    セカイに来ると同時にミクが
    いつものように明るく出迎える。
    キラキラした瞳を大きく開いて

    「今日は、何を持ってきたのっ?」

    もう聞きなれたその問いに
    えむは負けじと元気よく答えた。

    「今日はね〜、じゃじゃじゃじゃーん!
    ぶどうジュースだよ!」

    鞄から勢いよくジュースを出す。
    透明なペットボトルは光を通して
    本来綺麗な赤紫が見えるのだが

    「やっぱり…だめ、だったね。」

    錬金術師がセカイを拒んだからなのか
    セカイは大きく変わってしまった。
    紫色のものが上手く認識出来なくなった。
    透明という訳では無いのだが、
    色が見えない状態だった。
    それから初めて来た頃は幻想的だった遊園地も
    現実味を帯びてしまった。
    宙に浮いていたものは無くなり、
    動く無機物も動かなくなった。
    なによりミクやKAITO達が類のことを
    忘れてしまっていた。
    どれだけ説明しても思い出す素振りさえ
    見えず、司達は困惑した。

    「う〜ん、いつになったら紫色が
    見えるのかな〜?」

    「余程不思議な色なのかもしれないね」

    えむと寧々と司が持ってきた
    紫色であるはずの山を眺めながら
    ミクとKAITOが話しているのを横目に
    司はえむと寧々と今月の予定を立てる。

    「…よし、これくらいだな!質問はあるか?」

    「えっと、一つ…いい?」

    寧々がそっと手を上げる。
    司が肯定を示すように深く頷くと
    寧々は言いずらそうに口を開いた。

    「あの、類…に作ってもらったネネロボ…
    類の点検無しに動かしたりするの危ないし、
    どうしようって思って…」

    確かにあれは類以外にはどうしようも無い。
    だからといって、類に使いたいから点検しろとは言えるわけが無い。
    そう考えて、司は

    「ひとまずステージの端に置くことにしよう。
    マスコット的な存在感を放っているしな!」

    「ん、分かった」

    「それじゃあ、今日はこれにて解散だ!」

    「はーい!
    ミクちゃん、カイトお兄さんまたね!」

    「バイバ〜イ☆」

    司はスマホを取り出す。
    画面は曲が流れていること示していた。
    錬金術師が居てくれたら、
    この題名もセカイもショーも
    変わっていたのだろうか。
    そう思いながら、曲の停止ボタンを押した。

    『セカイはまだ始まってすらいなかった。』


    結論:ワンダショは出来る。
    みんなに輝きを届けたいって想いで。
    錬金術師の分まで背負って。
    類くんもそれでいいって思う。
    でも近い未来、ワンダショも類くんもだめになる。
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