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    しぃー

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    アクダグの恋愛診断アプリを使ったつかず離れずな話。

    お題をお借りしました。
    脈、中身、そうだったらよかったの言葉たちを用いて創作。
    #shindanmaker
    shindanmaker.com/1197550

    #アクダグ

    交わらない視線 アジトのソファで、アクセルが寝転んだままスマホをいじっていた。指先は器用に画面をスワイプし、何やら楽しげに鼻歌まで漏れている。

    「なあ、ダグ。こういうの知ってる?」

     興味もなさそうにドア際に立っていたダグの肩越しに、アクセルが中身をチラ見せする。ポップなハートマークとカラフルなゲージが踊る、いかにも軽薄そうなアプリだった。

    「……なんだそれは」

    「カメラで撮った相手と自分で、恋愛診断してくれるんだってさ。“相性脈アリ!”とか出るやつ。ちょっと面白そうじゃね?」

    「くだらない」

    「まあまあ、そう言うなって。ちょっと試してみたんだよ」

     アクセルはわざとらしく目を細め、ニヤリと笑った。

    「さっきクリスにコーヒーもらったときに撮ったけど、結果は“相性20%”」

    「……で?」

    「で、次。オレが廊下でダグを見かけたとき、こっそり撮って入れてみたら……ピコン♪」

     アクセルはにやりと笑いながら履歴画面を突きつける。そこにはしっかりと“相性98%!脈アリ(ドキドキ)”と表示されていた。

    「……俺に反応してどうする」

    「ははっ、オレがおまえに反応しちまったみたい」

    「……知らん。くだらない」

     ぐい、とアクセルは身を起こし、ソファから立ち上がるとダグの前へ歩み寄った。顔の距離がやたらと近い。ダグは無意識に一歩後ろへ引く。

    「なあダグ。おまえって気になるやついねぇの?」

    「は? なんだ急に。おまえに話す義理はない」

    「ちぇっ、冷てぇなぁ。あーあ、……ダグの気になるやつ、オレだったらよかったのになぁ」

     軽口のように言いながら、アクセルは相手の反応を見逃さない。

    「……おまえは、どういう意図でそういうこと言うんだ」

    「んー、からかい半分。でも、ちょっとはマジ」

    「……紛らわしい。なに考えてるか分かんないって、女に言われてそうだな、おまえ」

    「ははっ、よく分かってんじゃん。実際に言われた」

    「だろうな」

     ダグはため息をつき、視線を逸らした。だがアクセルは追い打ちをかけるように、ほんの少し真面目な声で囁く。

    「じゃあさ。オレがもっと……真面目に言えば、どう?」

     その言葉に、ダグは目を細めてじっとアクセルを見据えた。
     沈黙が長引いたあと、静かに返ってきた声は、少しだけ揺れていた。

    「……いったい真面目に何を言う気だ?」

     アクセルは笑う。いつものふざけた笑顔より、ほんの少し、穏やかだった。

    「俺からの愛の告白とか?」

     仮眠室の空気が一瞬止まった。
     ダグは黙ったまま、手元のコーヒーに口をつける。

    「なんで疑問形なんだ? はっきり言えないなら、最初から言うな」

     アクセルは一瞬きょとんとしたが、すぐに口の端を吊り上げた。

    「……ほんと真面目すぎるよな、おまえ」

     声は軽く笑っているように聞こえたが、その奥にはわずかなかげりがあった。

     ダグは視線を逸らし、窓の外をぼんやり見つめたままコーヒーをひと口。

    「……聞かなかったことにする」

     沈黙が落ちる。
     その静けさの中で、ふたりの距離はわずかに変わり始めていた。
     
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    kinotokko

    DOODLEいつもの突然始まって突然終わる。自分以外置いてきぼりメモ。帰りの電車が暇だったのがわるい。

    ツラアズへのお題は『君の「大丈夫」が、大嫌い』です。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/392860
    色々問題は山積みだったが、いつも通りアズサには笑って「大丈夫、大丈夫」と答えた。その途端、今まで心配そうに困り顔をしていただけのアズサが
    「は?『大丈夫』?今のツラヌキが大丈夫なわけないでしょ!何処をどう見たら大丈夫だって言えるわけ?頼りなさいよ?みんなも、私もいるでしょ?大切だから迷惑掛けたくないって思ってくれてるのかもしれないけど……でも私も大切だから間に合ううちに頼ってほしいの私は。……ツラヌキだって大切な人が頼ってくれたら嬉しく、ない?」
    怒るみたいに叱るみたいに烈火の如く喋りだしたが段々と声が詰まり、最後の方は不安そうに涙目でコチラを伺いながら「それとも、大切ですら……なかった?」と聞いてきた。脳裏に父親が『大丈夫、大丈夫!』と自分の頭を撫でる姿を思い出した。大丈夫では、なかったのだ。あの時は自分が頼りないのが腹立たしかった。頼ってもらえないのが悲しかった。あの時のオレは今のアズサみたいな顔をしていただろうな。
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