忘れもしない。初めての食事は、ほんとうに最悪だった。
最初に感じたのは、灼熱。一瞬置いてから、上あごから脳天に突き抜ける痛みと、舌にまとわりつく異物感がやってきた。反射的に吐き戻そうとして喉もとに力が入るが、口を掌で塞がれてそれもままならない。そのまま鼻先までつまみ上げられて、窒息しながらやっと嚥下を覚える。とたんに呼吸が自由になる。肺に流れ込んだ空気にあえいでいると、そこにまた次の一口が押し込まれる。四肢は椅子にかたく縛り付けられ、どれだけ身体をよじろうがびくともしない。やめろと叫びたくとも何かを詰め込まれた口からは言葉も紡げず、ただ獣のうなりが漏れるばかりだった。
口内が空になると同時に、顎をこじ開けられる。その指に無我夢中で歯を立てた。
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