Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    su_o5i

    @su_o5i

    💛💜

    ☆quiet follow Send AirSkeb request
    POIPOI 15

    su_o5i

    ☆quiet follow

    両片想い💛💜

    寒さを理由に、のシュウ視点です。

    #lucashu
    #mafiyami

    寒さを理由に(シュウ視点)シュウ視点

    ルカに買い出しとは言え、誘えて貰った時すごく嬉しかった。しかもわざわざ、部屋まで来て自分を選んでくれた事に

    柄にもなく、浮ついた気持ちになる。
    偶然でも、何でも良かった。

    クリスマスに、好きな人と2人で街を歩けると言う事実だけは確かだったから。

    それに

    外出嫌い、おまけに外は気温も今年一寒いって事を分かってたのに

    「僕も行くよ」

    と即答した人は、間違いなく人生でルカだけだろう。








    (油断してた……)

    シュウは今まで、こう言った確実に混むイベント事を避けて生きてきた。第一、クリスマスに誰かと出掛けるなんて事はなかったし想像してたよりも酷い人混みに、嫌だなと感じたが

    「シュウ、大丈夫?」

    ルカが、自分を気にかけては何度か立ち止まってくれたことに

    (この時間が、もう少しだけ長く続けばいいのに)
    なんて思いを願っては

    「大丈夫、ありがとう」

    いつもより緩くなった頬がバレませんように、と笑って答えた。



    だが歩いてる途中少しだけ、胸にモヤモヤとしたものを覚えてしまう。

    (……ルカ、ずっと女の人目で追いかけてるなぁ)

    すれ違う恋人達を、先程からルカが見ている事にシュウが気が付いてからは、楽しかった気分が下がりつつあった。

    きっと、ルカは誰かとクリスマスを過ごしたかったのだろう。

    人気者の彼の事だ。過去にも色んな人達と楽しんでは、その時の事を思い出してるのだろう

    過去にいた、恋人の事も。

    実際、本人から直接言われた訳でもないのに考えれば考えるほど嫌な思考は止まらない。

    それに

    (……僕も、あの人達みたいにルカと手繋ぎたいな)

    指と指を絡めて、幸せそうに歩いてる恋人をシュウも目で追うようになり

    だんだん、その欲は抑えられず
    (今だけは、僕の事見てよ)


    そしてシュウは、意を決して少し歩みが早くなったルカに自分の冷え切った手を伸ばしては

    「……シュウ?」
    「…………寒い」

    素直に、繋ぎたかったと言えるはずもなく
    寒いを理由に、少しぶっきらぼうに言葉をこぼした。

    (ごめんね…ルカは女の人と繋ぎたいと思うかもだけど

    僕はキミと繋ぎたいんだ)


    嫌なら、振り払っていいから。


    その言葉を口に出して言えなかったのは、実際されたら立ち直れる気がしなかったのと

    寒いと言えば、優しいルカは自分の手を振り払わないという自身も少しだけあったから。


    けど不安は隠せなかったのか、手が少し震えてしまい
    内心、酷く心臓をバクバクさせながら待ってれば

    シュウの指先が、知ってる温もりに包まれた事により

    (……よかった)

    ルカが自分の手を上から握り返してくれたのだ。

    だが

    「え、?ルカ?」

    すぐに手は離され、温まった手が一気に冷えていく

    (やっぱり、嫌だったかな
    それはそうだよね、ここ外だし……)

    シュウの思考は一瞬にして、負の方向に流れようとしていた

    その瞬間

    「わっ、!」

    ルカの大きな手が、自分の腰をガッチリ掴んできては
    強く体を引き寄せられ、今まで一番近い距離となる。

    予想外の事に、脳内はついにキャパオーバーを迎えてしまい


    「る、ルカ!?

    な、なんかすごく…ち、近くない?」

    本人の方を向いて、顔を見たかったが今振り向けば
    絶対にルカとキスしてしまう事になりそうなのが分かり振り向くことは出来ず 黙ってるルカに

    「……聞いてる?」

    ただ焦って、動揺した声でしか問い掛けることしか出来なかった。

    (どうしよう、僕これ絶対バレてるよね?え、でもなんで…)

    そう、頭の中をぐるぐるとさせていると

    「この方がはぐれないし、俺もシュウも温かいだろ?」

    なんて事ないと言った様子で、普通に返事をしたルカ

    (あ、なんだルカも寒かったんだ…)

    けど

    「そ、そうだけどさ…」

    こんなの、恋人がする事でしょ?周りの人も皆見てるよ?

    喉に引っかかって、俯いて言えずにいると

    「それとも、シュウは嫌だった?俺と、こんな恋人同士がくっつく様な距離になるの」

    シュウが弱い、好きな声と言い方で耳元に直接吹き込んできたものだから

    (……ずるいなぁ。断れないの知ってるくせに
    そうやって、キミは色んな人にも言ってきたの?

    前の彼女にも)

    マフラーに今にもニヤけそうな顔と、モヤモヤとした気持ちを隠すように埋めてはバレないように

    「……た、たしかにこの方が寒くないかも」

    精一杯、拗ねた声にならないように素直な気持ちで伝えれば

    ルカは笑って、俺もだよ。なんてまた人を勘違いさせるような事を言った。

    シュウは嬉しい気持ちのはずなのに、どうもこの言い様のない重たく纏わりつく気持ちを抑えきれず

    つい

    「………あのさ、ルカ」
    「ん?」

    「ルカは、いつもこうやって女の人にもしてるの?」

    ほんの少し、奥底に閉まっていた本音を問いかけた。

    「……どうして?」
    「うーん、やけに手馴れてるなって思って」

    さすが、モテる人は違うんだね。

    出来るだけ、嫌な返しにならないように明るく言ったつもりだが上手く笑えてるだろうか。

    (どうか僕の醜い気持ちに、気付きませんように
    そして、これが僕だけでありますように)

    その願いが、叶ったのかどうかは分からないが

    「……俺は、シュウ以外にはこんな事しないよ」

    自分が欲しかった答えがルカの口から聞こえたことに、シュウは夢でも見ているような気分になったが

    今は、それでも良かった。


    ルカが、自分だけと言ってくれた言葉を都合よく受け取り

    「そっか」

    と、一言だけ返すと

    「僕、コーヒーが飲みたいな」
    「OK!後で店探そう!」
    「んははっ、大丈夫だよ。僕はルカが飲めそうな物も置いてある所を調べてきたから」

    (いつかキミと行けたらいいなって、思ってたところんだ)

    当然、鈍いキミには伝わらないだろうけど。

    「ほんとう!?さすがシュウ、POG!!!!」

    嬉しそうなルカの声を聞けば、どうでも良くなり
    残り少ししかないこの時間を楽しもうと

    ルカに気付かれない程度に体を押し付けて、愛おしい人の体温を感じながら歩みを進めた。



    Tap to full screen .Repost is prohibited

    related works

    recommended works