寒さに寄り添う温もりを 天気は雲一つない快晴。空は高く、空気はひんやりを通り越して寒々しい。
「寒い……」
「そりゃ、冬だからな」
政府に行くまでの道すがら、そんなことを呟けば、本日の近侍である肥前はバッサリと切り捨てた。
――肥前からの対応も冷たい……。
少ししょぼくれながらも、それが彼なのだと思えば仕方ない。いや、むしろぶっきらぼうながらも、ふと呟いた言葉を拾ってくれたのだ。それだけでも十二分に優しいのではないか。そう考えて、気持ちを持ち直す。
「うっ……」
「風が強くなってきたな」
歩いている横を通り過ぎていく風は、冷気を纏っては勢いを増していく。少しばかりの痛みを感じながら、頬や手を撫でては体温を奪っていった風を、恨めしく思っても耐えるしかない。
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