誰かの手紙拝啓――
親愛なる■■、■■
お変わりなくお過ごしですか。
皇帝としての政務も慣れ、臣下に支えられ、立派とは言えないけれど、バレンヌ帝国皇帝として受け継いだ黄金の鎧に恥じぬよう日々励んでおります。
あれから早一年、おふたりに文を綴らないまま瞬く間に時が過ぎてしまいました。
多忙を理由に長く筆を取らなかったこと、親不孝者で申し訳なく思います。■■には薄情者だと笑われてしまうかな。
けれど私の心にはいつもおふたりの背中が見えます。きっと見守ってくだっているのだと瞼を閉じれば、胸の奥が熱くなりどんな時であっても力が湧くのです。
皇帝としてまだまだ■■には及ばず、■■のような強さもあるとは言えません。それでも私はおふたりの背中を知っているから強くなれる。思考を巡らせ剣を握り、旗を掲げられるのです。
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