狩猟本能 俺の部屋の勉強机の上には、幼い頃に親戚から旅行土産にともらった幸せの青い鳥の置き物がある。特に鳥が好きというわけではないけれど、一度飾ってからなんとなくそのままにしてあった。
知り合ってほどなくから何度となく勝手に俺の部屋に侵入りまくっている猫又は、どうやらその鳥がいたくお気に入りらしい。今日もまた、机の上に飛び乗ってフンフンと鼻を寄せている。
……正直言ってとても邪魔なんだが、言っても無駄なことは分かりきっているので大人しく我慢しよう。
「それ、落とすなよ」
「分かってますよ」
鳥を前足でちょいちょいとつつきながら、こちらに見向きもせずに返事をする猫又の金色の瞳は、まん丸に見開かれ爛々と輝いていた。
お題【鳥】
(二九九字)