明日の段取りの最終確認を終えた後、ミカドはあてがわれた客室に戻る道を途中で引き返した。毎日朝から晩まで変わることなく鎮座する月が、今夜ばかりは少し特別な輝きを放っているように思えた。精緻な装飾の影が落ちる長い廊下と螺旋階段を登って、城のてっぺんへ。
押し開けた扉の向こうには先客が居た。気怠げに腕を投げ出して城下町を見下ろしている男の隣に立つ。
「お疲れ様です。作業は終わったのですか?」
「ああ。達成感と不安と半々、といったところだが、まぁなるようになるだろ」
「そうですね」
夜更けの街灯りはまばらで、仰ぎ見た夜空の方がいくらか明るいようにすら感じる。間接視野でコスモもそれに倣うのが見えた。ゆるい秋風に吹かれながら、少し言葉を選ぶような気配がある。
999