戦いは終わらない 大友は疲れていた。
この半日でぼろぼろになったノートを握りしめ、重い足を引きずりながら歩く。校門を出てだいぶ経つというのに、歩みは遅々として進まない。寮への道のりは遠く、どこまでもはるかに感じられた。
冬の道にみずからの影ばかりが黒ぐろとしてのびている。
頭のなかとノートには、この半日校内を駆けずりまわって収集したユース在籍者の恋愛事情がぱんぱんに詰めこまれている。竹島、増子、黒田と、その名をノートに記すたび文字は涙で滲んだ。けれどもせっかく得た情報を無駄にするのも癪で、何もかもつまびらかに書きつくしてやった。
結果として大友は、同期および先輩たちのプライベートを掌中におさめることに成功した。
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