同じ空の下 ネットの端をくぐってあらわれたひとに、月島はボードに書き込む手を止めた。
「福田さん」
そう呼べば、おうと短い返事がある。
「どうしたんだい?」
尋ねたのは、普段よりも憔悴したさまが目についたからだった。
ああ、と肩をすくめ、福田はぶらぶらと近づいてくる。
練習場には子どもたちの掛け声が響いていた。福田率いるAチームは今後の試合日程が密ということもあり、きょうは軽いリカバリのあと早々に解散していた。そのぶんBチームのメンバーは張り切っているようで、ボール回しをするグループがあちらこちらに、伊達がしっかりとそれらに目を配っている。月島は記録係として、選手それぞれの気になるところをメモしているところだった。
2863