「なあお前、赤ちゃんの世話とか見たことある?」
「いや…無いな」
「そうか」
1997年、7月。深夜、いつものラーメン屋でいつものラーメンを食べ終わって、双方タバコを吸いながらぼんやりとテレビのバラエティー番組に耳を傾けていた無言の間を、錦山が破った。
「ひまわりも、赤子は預かってなかったもんな。そら小せえ子はいたけど、幼稚園生くらいで」
「そうだったな…一番小さかったアイツ…タカト、も6歳くらいだった。」
「そうそう。…あでも、一回、職員が赤ちゃん連れてきた事あったろ。あの、ショートカットのさあ、可愛い系の人」
「お前の初恋のミカセンセーだろ?あの年下ブレイカーの」
「ばっかお前!今はそういう話じゃねえよ」
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