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    ra_ki_s_Lv2

    @ra_ki_s_Lv2

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    ra_ki_s_Lv2

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    ケーキ探しに行って無かったのは私です。初めてのヤマ千SS

    暖かい冬“お誕生日おめでとうございます!”

    そう、世話になっている人間や後輩たちからラビチャが飛んでくる。
    “ユキ、愛されててモモちゃん嫉妬しちゃう〜!”
    なんて、普段なら明るい相方が隣で笑ってくれそうなものだが残念ながらお互い別現場での仕事で、向こうは深夜まで生放送だ。
    さらに言えばこちらはドラマ撮影の為、スタジオで後輩たちと遭遇もすることは無い。

    もちろんスタッフや共演者にはお祝いしてもらったし、簡単にケーキも用意されたがやはり日付が日付のため、飾り付けはクリスマスケーキだった。
    別に昔からそうであったし、あまり自分の誕生日にも興味なかった。
    今はモモや後輩たちからの“おめでとう”や、彼らの楽しそうな表情を見るのは好きではあるが。

    「…一番、連絡が欲しい子からは来ないけどね。」

    撮影が終わり、スマホを確認すると22時にちょうど変わる。
    後輩たちからのラビチャにお礼の返信をするが、1人だけこちらからメッセージを送ったっきり連絡が来ない後輩がいる。
    あんまり自分からは言って来ないタイプだと思ってるし、こちらから構いに行けば去年のように渋々返事をくれるだろうと思っていたけれど…

    「忙しい、のかな…そういえば今日仕事だって言ってたな。」

    うーん、残念と言いつつも何だかんだ律儀な彼から返信が来ないということは忙しいんだろう。
    まぁ、いつか来るだろうと、スマホをコートのポケットにしまう。
    外に出れば肌を刺すような寒さに思わず肩を震わす。
    明日は今日が仕事だったから、とマネージャーがもぎ取ってくれたオフだ。
    何をして過ごそうか、と足を踏み出すと少しばかり焦ったような足音が横から聞こえ。

    「千さん…!」

    その声に驚いて視線を送れば、ラビチャの返信を期待していた彼がそこに居た。

    「大和、くん?」

    走ってきたのだろうか、髪が乱れ少し息が切れている様子に首を傾げながら頬に触れると、普段自分より暖かいはずの体温が低く、かなりの時間外にいたのかと思い眉を寄せる。

    「どうしたの、こんなに冷えて…」

    「いや、その……正直、舐めてました。」

    何が、と聞く前にずいっと目の前に白い小さな箱を差し出される。

    「……ケーキ?」

    そう聞いても相手はふいっと視線を逸らして何も言ってくれない。
    仕方ないので受け取った箱をその場で軽く開ける。

    中はシンプルな苺のショートケーキだった。
    でも、今日現場で見たようなクリスマスの飾りは無く、代わりに“Happybirthday”と、書かれた小さなチョコレートのプレートが乗っていた。

    「……誕生日ケーキ、だね。」

    「…はい。」

    「買いに行ってくれたの?」

    「……なんか、どこもクリスマスケーキばっかで…、遅くなってすみません。」

    そこで彼が仕事の終わりに、自分のためにわざわざこれを探しに行ってくれた事を理解した。
    クリスマス飾りのない、シンプルだけど“誕生日を祝うためのケーキ”を…。

    胸がじんわりと温かくなる。
    そして頬が緩むのを抑えきれず、こつりと彼の肩に額を乗せる。

    「…嬉しい。ありがとう、大和くん。」

    「…、そんな、良いやつじゃないですよ。」

    「関係ないよ。ケーキならたくさん売ってただろうに…わざわざ僕のために、探してきてくれたんだろ?」

    そういうと彼は黙ってしまう。
    ちらりと表情を盗み見れば頬が赤く染まっている。
    昔なら違うと全力で否定してきそうなのに、可愛いな、と思わず声が漏れる。
    顔を上げると聞こえていたようで少し拗ねたような表情の彼がいてさらに愛おしくなる。

    「ねぇ、大和くん。」

    「…なんっすか。」

    「…僕に、言うことない?」

    「……はぁ。誕生日、おめでとうございます。」

    大きなため息の後に、欲しい言葉をくれる彼に満足気に笑う。
    箱をそっと閉じ、空いた手で彼の袖を掴む。

    「今日、うち…来てくれる?」

    「……誕生日なのに、1人なのも寂しいでしょうから。」

    「そうね、大和くんといたい。」

    「……いいですよ。」

    明日、オフなんで。と耳打ちされ不意打ちに少し目を見開き、期待で鼓動が早くなり頬に熱が集まる。

    「っ、寒いから、早く行きましょ…」

    目を合わせると、期待しているのが伝わったのか引いてきた熱がまた頬を染めた彼がこちらの腕を掴んで歩き出す。

    肌を刺すような寒さのはずなのに、いつの間にか暖かいなと感じていた。


    end
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