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    結月(ゆづき)

    @22Yuzuki22

    主に小説しか書きません。(絵は見せられるものは書けません)のんびりまったり上げたりしてます。

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    結月(ゆづき)

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    ちびキラ。こっちは2歳くらいになって中身も退行しちゃったよな話。2歳だからイヤイヤ期真っ只中。アスランとも出会ってないから分からない。こっちは2歳のキラが満足したら元に戻る。

    天使のような悪魔なお子ちゃま


    「も、もうダメ、限界⋯⋯」

    現在の時刻0400。
    ミレニアム艦内でキラはフラフラと漂っていた。

    今日の午前中にはプラントのアプリリウスに戻れる事になっており、そのまま休暇に入る予定だ。
    だが数刻前まで調整が上手く行かず、気が付けば四日も睡眠を忘れるほど没頭してしまった。どうにか終える事が出来、これ以上は流石にもう限界だった。

    (ミレニアムがプラントに到着するまで寝よう)

    どうにか自室に辿り着くと、制服もそのままにベッドに倒れ込み、意識を失うように深く眠りに着いた。



    時刻は1100。当初の予定時間より少し早めにプランに戻って来たミレニアムの艦橋内はほっとした雰囲気に包まれていた。

    「何事も無く帰って来れたな。皆ご苦労」
    「艦長もお疲れ様です」
    皆から労いの言葉を貰った後、ふとコノエは姿の見えないキラを探す。
    「⋯⋯准将の姿が見えないが、お休み中か⋯⋯?」
    「ええ。0400にやっと自室へ行かれた様です」
    ハインラインがカタカタと入力作業をしながら答える。
    「⋯⋯やれやれ、相変わらずだな。困った方だ」
    「全くですよ。私達には休むように言い、ご自分は我々に内緒でギリギリまで調整作業をしていた様です」

    はぁーとため息を付いたハインラインも最後まで付き合うつもりだったが、キラから命じられやむ無く先に休息を取ったのだ。まさかあの後もギリギリまで仕事をするなど思いもしなかったのだ。

    「まぁ、准将のワーカホリックの件は総裁やザラ一佐の耳に入れなくてはな。到着もした事だ。そろそろ准将を起こすべきか」
    「それなら問題ありませんよ。既にシンを向かわせてます」
    「流石だな、アルバート」
    「当然です」
    クイッと片方のメガネを持ち上げてにっと笑うハインラインに、コノエはやれやれと肩を竦めた。



    その頃。
    「本当にキラさんには困った。まさかあの後もずっと仕事やってるなんて⋯⋯」
    無理矢理にでも中断させて引き摺ってでも休ませるべきだったとシンはガシガシと頭を搔く。

    何度もキラにいい加減休んで下さい! と口を酸っぱく言ったのだ。なのに、本当に直ぐに終わるからと押し通され、シンは先に休息を取ってからキラを寝かせようと思ったのだ。
    その後予定より早めに目を覚まし、キラが格納庫にまだ居ないか確認しに行ったら居なかったから、寝たのだろうと安心していたら、ハインラインからシンが格納庫に行く1時間前に眠りに行ったと情報を貰った。
    どうやら普段から監視カメラでチェックしたようで、キラの自室へ向かおうとしたシンを引き留め、今の時間までキラを起こしに行くなと言われたのだ。

    ミレニアムもプラントへ到着した為、そろそろ起こしてもいいだろうとの事でキラの自室へ向かっていた。

    「⋯⋯ん? ルナ? アグネスまで」
    何故かルナマリアとアグネスがキラの自室前に立っていて首を傾げる。
    「あ、シン。ちょうど良かった」
    「なんだよ?」
    「あんた隊長の自室のロック解除知ってるでしょ? 早く打ち込みなさいよ」
    「はぁ? なんでまた急に⋯⋯」
    急かされるようにアグネスに言われて少し腹が立った。
    「あのね、私達ここを通った時に中から泣き声が聞こえたの」
    「中って、キラさんの自室から?」
    「そう。しかも、明らかに小さい頃子供の泣き声が聞こえて⋯⋯」
    「はあ? そんな訳ないだろ? ミレニアムに小さい子なんて居ないし、ましてやキラさんの部屋に?」
    聞き間違えじゃないのか? と2人に聞くと、それは無いとハッキリ言われた。
    「さっきまで僅かに聞こえてたのよ。私達は隊長のロック解除の番号知らないし、シンを呼びに行こうとしてた所だったの」
    「⋯⋯まぁちょうど俺もキラさん起こしに来るつもりだったからいいけど。とりあえずロック解除するからな?」
    「早く!」
    急かすアグネスとルナマリアに分かったって! と言いながら事前にキラから教えて貰っていた解除キーを押す。

    ピピッとロック解除の音が聞こえ、シュンッと扉を開けて中に入るとぽふっと足元に何かが当たった。

    なんだ?と思って視線を下げると、小さい茶色頭。重そうに引き摺っているその服はキラが着ていたコンパスの制服だった。
    「⋯⋯え?」

    思考が停止する。
    一体これは何だ? この子は⋯⋯?

    そんな事をグルグル頭の中で考えていると、足下の小さな子が勢いよく泣き出した。

    「うあーーーーんっ!!」
    ボロボロと大粒の涙を流し、シンの足にしがみついた。
    「ちょっ! えっ!?」
    もう何が起こってるのか分からなくてパニックだった。
    明らかにベッドにキラの姿はなく、居たのがシンの足元にしがみついた小さな子だけ。
    ブカブカの制服を引きずったのだろうかヨレヨレになっていた。

    「シン! この子隊長じゃない!?」
    「えっ!?」
    「間違いないわよ! 隊長だわ!」
    ルナマリアとアグネスがしゃがみ込むとキラの名前を呼んだ。

    「ひくっ、おかぁしゃん、どこぉ? おねーしゃん、なんできら⋯⋯?」
    ぎゅっとシンのズボンの裾を掴んだまま、潤潤と涙を零しながら辿々しく聞いてきた。

    「本当にキラさん!?」
    おもわず大きな声を出してしまい、その声にビクッと驚いたキラが再び声を上げて泣き出した。
    「わわっ! す、すみません!」
    「ちょっと、シン! 何やってるのよ! もう!」
    「あんた本当に使えないわね!」
    「仕方ないだろー!? 驚いたんだから! ええーと、大丈夫! 大丈夫だよー! キラさん、泣かないでー!」
    ひょいっと制服をまとわりつかせた小さな身体を抱っこする。
    えぐえぐと大きな紫水晶の目に大粒の涙を溜めて泣くその姿ははっきり言って可愛い。
    よしよしと背中をポンポンしてやると、少し落ち着いたのか右の親指を小さな口に咥えたその姿はマジで天使だった。

    「本当にキラさんね。面影バッチリ⋯⋯何歳くらいだろう?」
    「さぁ? 2、3歳てとこじゃない?」
    「キラさん、今いくつか言える?」
    優しく聞いてみると、小さな左手で2歳と表してくれた。ちゃんと指が動かないのか小さな子特有の指の開き方が可愛すぎる。

    3人ともそんな動きと姿を見て冷静では居られるはずもなかった。

    「隊長、可愛すぎる♡」
    「やだー♡可愛すぎ♡♡」
    キャッキャと笑う女子2人に、シンに抱っこされたままのキラは不思議そうにしていた。

    「しかし、これどうしたら⋯⋯」
    このままという訳にはもちろんいかないだろう。何故急に子供になったのかも分からない。ずっとこのままだと更に困る。
    うーんと唸っていると、シンの顔を不思議そうにぺちぺち叩いてきた。

    「おにちゃ、いたいいたい?」
    よしよしと撫でようとしてくれているらしいのだが、何故かぺちぺち頬を叩くキラに胸が締め付けられた。

    (可愛すぎるっ!!)
    あまりの可愛さに倒れそうになった矢先、部屋のコール音が鳴り響いた。

    「キラ、入るぞ?」
    何故か聞こえてきた声にシンは思わずうげっと声を漏らす。
    いくらミレニアムがプラントに到着したとはいえ、待ち伏せて居たのかと言うほど早い到着のアスランにシンは不機嫌になる。

    「⋯⋯シン、その子は⋯⋯?」
    「えーと、これは、その」
    シンが抱っこしている子供を見て、怪訝そうに見たアスランだったが、直ぐに誰か分かったらしい。
    「⋯⋯キラ?」
    なんでこんな小さくなった? と言わんばかりに目を見開いたアスランに、キラが少し怯えてシンの胸にしがみついた。
    キラにしがみつかれてなんだかアスランに勝った気持ちになった。
    いつも幼馴染感を出されて鬱陶しかったのだ。

    『キラの事は俺がよく分かっている』なんて事を言っていたことがあったが、さすがにこの年齢のキラはアスランも知らないのだろう。

    「⋯⋯キラ?」
    アスランの顔を見ないようにシンの胸に顔を押し付けるキラに、アスランは負けじと声を掛ける。
    「キラ、こっちおいで?」
    甘い声でどうにか気を引こうとしたらしいが、キラはアスランの方を見ること無く「やっ!」と短く拒否した。
    キラに拒絶された事にアスランが落ち込み、床に崩れ落ちたのを見てざまぁみろと思ったのは言うまでもないだろう。


    「それにしてもどうしたら⋯⋯」
    「服だってこのまま裸のままで過ごさせれないですよね?」
    「あぁ、一応さっきメイリンに服の調達を頼んだ。ラクスと出会ったから一緒に服を買って戻ると連絡が来た」
    「総裁、なんでまた?」
    「元々キラを迎えに行くつもりだったらしい。迎えに行けば帰ってくると考えたらしい」
    「⋯⋯なるほど」
    前回のすれ違いから総裁のラクスは、ミレニアムが帰還した時にはキラを自ら迎えに行くようにしたらしい。
    ラクス曰く、迎えに行ってしまえば帰るしかなくなる為、その手段をとる事にしたのだとか。
    そういえば前回も迎えに来てたなとシンは思い出した。まだ仕事をしようとしていたキラを笑顔で連れ帰った総裁は強かった。

    少ししてラクスとメイリンもミレニアムにやって来た。

    「まあ! とっても愛らしいですわ!」
    「本当に! キラさん可愛い♡」
    持ってきた服をキラに着せた。着せたんだが、これは
    「ラクス⋯⋯これはワンピースじゃないのか?」
    「はい。ワンピースですわよ?」
    「⋯⋯キラは男だぞ?」
    「あら、この位の年齢だと男女関係ありませんわ。それともアスラン、あなたはキラがこのお洋服が似合わないとでも?」
    「似合うに決まっているだろう!?」
    「アスランうるさい」

    現在キラはラクスとメイリンが持ってきた白いフリルのついたワンピースを着ていた。
    よく分かっていないようで、特に嫌がる様子もなく大人しくシンに抱っこされていた。

    どうもシンが気に入っているようで、シンから離れたがらないのだ。アスランがもう一度手を伸ばしてみても変わらず「やっ!」と拒絶され、ルナマリアやアグネスも首を横に振られた。
    ラクスもメイリンもダメで、何故かシンに抱っこされてご機嫌なちびキラは最高に可愛い。

    「⋯⋯どうして、シンのみ許されるのでしょうか?」
    「分からない⋯⋯恐らく自分と同じくらいと思われてるんじゃないのか?」
    悔しそうな2人にシンは上機嫌だった。
    まさかの2人より、シンを選んでくれているのが何よりも嬉しい。

    「あ! とりしゃん!」
    パタパタとキラの頭上を旋回するトリィとブルーを嬉しそうにぱちぱちと手を叩くキラに、みんな悩殺されていた。

    「⋯⋯しかし、本当にどうした元に戻るんですかね?」
    「⋯⋯分かりませんわね。こんな事は初めてですから⋯⋯」
    「⋯⋯このキラが寝たら治ったりしないか?」
    「可能性はありますが⋯⋯うーん」
    キャッキャとトリィとブルーと遊ぶキラはまだまだ元気だった。
    とにかくみんなでキラを愛でながら、キラが求めるまま色々と遊んでやっていると、段々眠くなってきたのかウトウトしだした。

    「⋯⋯眠いなら寝ていいよ?」

    昔、幼い妹のマユの世話を思い出し懐かしくなる。
    あの時もよく背中をトントンしてやると寝たんだよなぁと、キラを抱っこして背中を叩いてやると、シンの腕の中ですやーと眠ってしまった。

    愛らしいその寝顔に皆ほっこりした。ひとまず寝かして、色々話そうとベッドに小さな身体を置いてやる。シーツを掛けてやり、少し離れて今後の事を話し合おうとした矢先、ポンッと軽快な音が聞こえ、音の先を見るとすっかりいつもの大きさに戻ったキラが眠っていた。

    「⋯⋯疲れがピークに達して小さくなり、小さいキラが満足して眠ったから元に戻ったとか、そういう感じだな」
    アスランの言うことが事実ならまたなる可能性もある。今は何も無くてどうにか出来たけど
    次同じ事が起きればどうなるか。

    「⋯⋯本当になんでまた」
    「分からないが、とにかく元に戻れて良かった」
    原因は不明だが、体も問題なさそうだとざっとキラを診たアスランがほっと胸を撫で下ろす。

    「もう少し寝かせてあげましょう。特にこの後は用事があるわけでは無いですし、シン達も休暇に入るのでしょう?」
    「あ、はい」
    「その予定です」
    「⋯⋯この事はキラには内緒にしましょう。ストレスで小さくなった可能性も捨てきれませんし知ればショックを受けるかもしれませんもの」

    非現実的な事が自分の身体に起こったと聞いたら恐怖だろう。それでまたストレスが掛かればまた別の問題が起こりかねない。

    「とにかく今は様子見ですわ。キラが起きたら休暇中に検査をして頂くように手配してますから」
    「そうですね」
    「それにしても⋯⋯2歳のキラはとっても愛らしかったですわ♡」
    ぎゅっとハロを握り締めるラクスは、先ほど撮り溜めた2歳児キラのデータを、オーブで頑張っているカガリにも送り付けたのだった。


    その後何も覚えてないキラが「なんで皆僕の部屋にいるの?? あとなんで僕裸なの?」と大混乱していた。
    どうにか混乱するキラを宥めて服を着させて、久しぶりの休暇を楽しむべく皆でキラとラクスの住まいに向かったのだった。


    続きはないよ。力尽きた。
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