真ん中の特別な一日
「艦長。今お時間大丈夫ですか?」
「どうされましたかな、准将?」
ブリッジにキラが来たかと思えば、いきなりそんな事を聞かれた。
表情を見るに何か悩んでいる様子は見られず、ひとまず安心だと心の中で息を着く。
「えーと⋯⋯ここではちょっと⋯⋯」
歯切れの悪い物言いが珍しく、おもわず眼を見張る。
時計を見ると丁度昼食時間になる為、周りのクルー達へ先に休憩に行っても構わないかと聞くと、二つ返事で皆からどうぞどうぞ! と言われ言葉に甘える事にした。
「では准将。私の部屋で昼食を一緒に取りましょうか」
元々食事を疎かにするキラを、昼食に誘おうと思っていた為丁度良かった。
「はい」
キラも頷いた為そのまま2人でブリッジを出ると、コノエを先頭に自室へ向かう。
特に会話も無く自室に到着し、部屋の扉を開けてキラを招き入れる。
扉が閉まる瞬間、コノエはキラの身体を抱き締めた。
「わっ、か、艦長!?」
突然のコノエの行動に驚いたキラが声を上げるが、素直に抱き締められていた。
「⋯⋯それで? いったい何のお話ですかな?」
静かにキラの用件を抱き締めたまま尋ねる。
「⋯⋯えーと」
抱き締められたまま、キラもおずおずとコノエの腰に腕を回して来た。
「⋯⋯」
コノエはキラからの言葉をじっと待つ。急かす事はしない。
「何か心配事が有りましたかな?」
「いえ⋯⋯あの⋯⋯今日が⋯⋯その、ハーフバースデーという物だと聞いて⋯⋯」
「ハーフバースデー?」
そういえば最近ブリッジのクルー達が話していたのを思い出す。
確かあの時彼女達が盛り上がっていた話だと、恋人同士誕生日の丁度真ん中の日にやるものだと言っていた。
つまり、恋人であるキラの口からハーフバースデーの言葉が出たという事は。
そこまで考えてコノエは口元が緩むのを止められなかった。
「まさか貴方の方からハーフバースデーのお誘いをして頂けるとは」
自分の誕生日には無頓着なのに、コノエの誕生だけではなくハーフバースデーを気にしてくれるなど思いもよら無かった。
「⋯⋯あの、けどプレゼントとかの用意は⋯⋯」
「何を仰ってるんですか? 私も貴方にプレゼントを渡さなければならないんですよ? それに、プレゼントなら目の前に有ります」
「え⋯⋯?」
驚くキラの口に軽くキスを送る。
チュッと小さくリップ音を鳴らして顔を離すと、カーッと顔を赤くするキラを見てそれだけで満足出来る出来た。
「この続きはまた夜にでも⋯⋯」
耳元で囁いてやると、真っ赤な顔をしたキラがこくこくと頷くのが見えた。
恋人同士になってから身体を重ねた事は何度もあるのに、いつまでも初々しい反応をするキラに愛おしさが増すばかりで尽きる気配は無い。
「では今は昼食を食べますか。持ってきますから、ここで待っていて下さいね」
にっこり微笑んでからキラを残し部屋を出ると、年甲斐もなく夜が楽しみだと口元が緩みながら食堂へ向かった。
食事トレーを2つ持って戻って来た時、キラはコノエが出た時の位置のままその場にしゃがみ込んでいた為、具合でも悪いのかと思い焦った。
「違います⋯⋯あの⋯⋯また夜に来ますからっ」
そう言いながら立ち上がると部屋から去って行くキラを呆然と見送った後、すぐにトレーを机の上に置き後を追い掛けてキラを捕まえる。
「⋯⋯そんな顔をされると、夜まで我慢出来なくなりますよ?」
困った様に笑うと、キラは上目遣いでコノエの理性を簡単に崩しに来た。
「⋯⋯いいですよ?」
「⋯⋯」
明らかに煽る言い方に、年甲斐もなく我慢出来なくなってしまい、夜まで待てずそのままキラを抱いたのは言うまでもない。
若干休憩時間が過ぎてしまったが、クルー達は分かっていると言う様に、ほぼ皆ニマニマニコニコしていた。