hugして シンキラver.「はぁー、疲れた⋯」
ミレニアム艦内。時間は深夜にあたる時間。
今日もMS調整、介入、支援等分刻みの仕事の山だった。
隊長であるキラは誰よりも多忙で、気が付けばここ何日かは深夜まで仕事をしていた。
まぁ自分が集中し過ぎて周りの声を聞かなかったのが原因ではあるが。
シュッと扉を開く。そこは自室として使用している高官クラスの部屋だ。
「⋯あれ?シン?」
扉を開けると何故かシンが居た。
しかも両手を大きく拡げて待っていたので首を傾げる。
「もう遅いから寝ないと⋯」
「それよりも先にこっちです!」
「んー?」
シンの言いたいことが分からなくて止まっていると、シンから近寄っていきなり抱き締められた。
「!?ちょ、シン!?どうしたの??」
「キラさん、お疲れ様です。」
抱き締められて背中をポンポンと叩かれた。
シンにハグされて、どうにか保っていた身体から力が抜ける。
「ほんと、いつもいつも無理しすぎです。俺も居るんですから、ちゃんと頼って下さいよ。」
「⋯うん。頼ってるはずなんだけどね⋯。」
「頼ってくれるようになってますけど、全然ですよ。俺はキラさんの負担を減らしたいんです。無理して欲しくないんです。⋯俺じゃ出来ないこともあるだろうから、その時は、今みたいにハグして、甘やかしてあげます。」
「⋯うん。」
「俺の前だけは甘えて下さい。しっかり受け止めますから。」
「⋯ありがとう、シン。」
温かなシンを抱き返し、疲れきった身体は休息を求めた。
段々と眠気に襲われて、シンの胸にもたれ掛かる。
トクトクとシンの心音が心地よくて、そのまま意識は深く沈んだ。
「⋯あー、寝ちゃったか。本当はシャワーとか浴びたかっただろうけど、兎に角、ベッドに寝かすか。」
よいしょっとキラの身体を抱き上げると、相変わらずの軽さに少し顔を顰める。
以前のような張り詰めた無理をしてはいないが、それでも軽いキラの身体。
最近は食事を取っている場面も見ているから、改善も少しはしてるのだろうが、それでも健康的な体重とは程遠いだろう。
無理をするなと言っても、本人は無理をしている自覚がないから連日遅くまで仕事をしていたりする。
ずっとそんな生活をしていたから、身体が慣れているのかもしれない。
さて、このワーカーホリックな隊長をどうすべきか。
やはりみんなを巻き込んで止めるべきか。
「ほんと、俺がどんな気持ちでいるか、分かってないんだろうな。」
ベッドに寝かせ、シーツを掛けてやる。
薄ら目の下にある隈。すこし痩けた頬。
それでもその肌は綺麗で、頬に手を触れる。
滑らかな肌感にドキドキする。
顔を見ると本当に綺麗な人だと思う。
吸い込まれるようにキスをする。
「⋯ん⋯」
すぐに口を離して、目が覚めていない事を確認してから部屋を出る。
このままいると襲いそうだと自覚した為だ。
「いつか、絶対に。」
気持ちを伝えてやる。
そう心に決めた。