hugして アスキラver.アスキラver.
カタカタカタとキーボードを打つ音がコクピット内に響く中、本日何度目かのエラー音。
「はぁー、ダメだなぁ。集中力が切れちゃってる。」
連日徹夜続きだったのが影響しているのだろう。
キーボードを打ちながら時折意識が飛んでいる時がある。
ここまではここまではとやっていくうちに気が付けば夜も更けていた。
このまま続けていても上手くいかないだろうと、諦めてコクピットから出る。
「あれ?」
無重力の中、ふわりと降りるとそこには居るはずのない人物が腕組みをして立っていた。
「アスラン。どうして⋯?」
明らかに不機嫌そうな表情で、無言のままキラを見ている。
「⋯お前がまた無理をしているとタレコミが入ってな。」
あー、ルナマリアかもしくはシンかな?
あまりにも言う事を聞かず休まないキラに、最終手段のアスランを呼ぶとは油断してた。
「別に無理はしてないよ?本当にそろそろ休もうとしてたし。」
不機嫌なアスランの相手は面倒臭い。
休ませる為に来たのなら、ちゃんと今からやすみにいくので説教は勘弁して欲しいなと思って、横を通り過ぎようとした瞬間。
グイッと腕を引かれ気が付けばアスランに抱き締められていた。
「⋯ちょ、アスラン!」
「いいから、少しこのままでいろ。」
いくら人が居ないとはいえ、どこか気恥しい。
なんとなくキラもアスランの背に腕を回してハグをやり返した。
少し背の高いアスラン。
腕を回して分かった事は細身に見えるのに均等に筋肉が付いていて、ちゃんと鍛えられた身体付きだと分かる。
なんか面白くないと思っていると、アスランの笑い声が聞こえた。
「⋯なに?」
「いや、可愛いなと思ってな。」
良い笑顔でアスランが言うと、ムッとしてしまう。
「キラはちゃんと食べる物を食べて、しっかり睡眠時間を取って、身体を鍛えないと筋肉は付かないと思うぞ?」
「うっ⋯!」
「⋯まぁ多少は肉になってきてるようだが、まだまだこんなんじゃ話にならないぞ?」
「⋯うるさいな⋯僕はインドア派なの。」
「全く。⋯あんまり痩せすぎてると抱き心地が悪いんだが?」
アスランが耳元でボソッと話した言葉を理解した瞬間、ボンッと顔が赤くなった自覚があった。
「ちょ、アスラン!?」
「というわけで、ちゃんと服を脱いで肉がついてきたか確認させて貰おうか?なぁ?キラ。」
さり気なく腰に回ってきたアスランの手はキラのお尻に触れる。
「ちょっ!変態っ!」
「いいだろ?いつ見てもキラのお尻が見えてしまって、誘ってると思ってたんだが?」
たしかにコンパスの白服は後の一部が短くなっている為、角度によってはお尻が見える。
とは言ってもズボンだから見えても問題は無いのに。
「もう!アスランのバカっ!ムッツリ!」
「はいはい。じゃあお前の部屋に行くぞ。しっかり眠れるまで相手してやるから。」
嬉しそうに話すアスランに、キラは慌てる。
このままだとアスランが満足するまで離されないだろう事は容易に想像がつく。
「やーだー!」
身動ぎして逃げようとするも、がっちりと腰に手を回されて逃げれない。
そうこうして自室へ連行されキラは気絶するように眠るまで、アスランによって良いようにされてしまったのだった。