甘えたがり③だいぶ長い時間居座ってしまい、そろそろ帰ろうという頃だった。オレが空っぽになった弁当箱を持っていたランチバッグに入れて立ち上がったそのとき、窓から見える空が光る。そして少し遅れて大きな雷の音がした。がたがたと窓が揺れて、どうやら風もよく吹いているようだった。
「あー…そういえば、昨日の天気予報見てなかったな」
大雨に強い風に雷。
恐らく類に傘を借りさせてもらっても間違いなく家に着く頃にはびしょびしょに濡れてしまうだろう。そう思うと少し億劫になって憂鬱な気分が声に出た。
「………」
「類?」
類が急に黙り込んでしまうので不思議に思って名前を呼びかけた。類の顔を覗き見るといつもゆるりと笑っているその口元が珍しく結ばれていて。
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