こんなお前を、俺は知らない。この世界で「VTuber」として世に出てもう数ヶ月。慌ただしい月日も、家族のようなメンバーと友人に支えられて乗り越えた。
そして、何より。
浮奇との出会いは自分からしたら刺激的で、言葉にすることが難しいが……少なくともこの時代ではとても、とても満たされている。浮奇とはデビュー当時から唯の友人以上の仲であった。
そんな浮奇との念願のオフコラボ。今日のこの日が何より楽しみで、前日はよく眠れなかった。くわ、と何度も欠伸が出てしまう。
待ち合わせは10時。そろそろか、と携帯を開くとちょうど浮奇からメッセージが来ていた。
『ふーふーちゃん、どこにいるの?』
『さぁ、どこだろうな?』
『ねぇ』
『冗談、時計台の下だ』
『もう、今行くね』
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