おまじない「置いて行かないで…捨てないで……待って…。」
♢♢♢♢♢
ハッ……夢、か。目覚め悪いな…。
額にかいた汗を片手で拭いながらベッドを出て水でも飲もうかとキッチンの方へと向かう。途中先程見た夢を思い出し表情が曇る。嫌な朝だな…、朝からこんな調子だとその日一日が良い日じゃないような気がして気持ちが沈む。
「おはよう浮奇、顔色が良くないね。どこか具合悪いの?」
ダイニングに入ったところで黄色い前髪が特徴的な黒ベースで紫のインナーカラー、両サイドにピンクのメッシュが入った襟足の長いウルフヘアーの青年に声を掛けられた。
「おはよう、シュウ…そんなんじゃないよ……少し夢見が悪かっただけ。」
本当は少しどころかかなり夢見が悪かったのだが、あまり心配を掛けたくなくて少し噓をついた。
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