人を殺した🔮と親友の🐑が逃避行に出る話①ep.1
『雨は、空と地面とをつなぐ世界で一番きれいな糸なんだよ、だからね』
雨という字形も意味も綺麗な漢字をそろそろ嫌いになりそうな程毎日雨が降り続く6月、梅雨の季節。
ちょうど今みたいな時間と同じような雨のシーンを描いた小説に指を挟んでを1度パタンと閉じ、組んでいた足を解いた。
機械でできた足が少しのモーター音とともに両足で床を踏みしめる。
放課後の学校図書館を利用する生徒は意外と多い。
雨で部活が無くなった生徒が多いからだろうが、誰も好き好んでこんな古典文学の黴臭いコーナーには来ない。
だからここは入学以来俺の城になっている。
ちらりと右目を動かして銀の髪ごしに時計を見たら、最終下校時刻30分前になっていた。
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