運命にさよならをそれはまだ、僕らの間にある縁がひどく捻じくれたりしてなかった頃の記憶。珍しくかっちゃんが僕の家にいて、一緒にヒーローの動画や番組を観ないでお昼にしていた名前も覚えちゃいないドラマを観ていた記憶。そのドラマでは二人の男女が運命の番で、険しい道程を越えて結ばれるという陳腐でありえない話だった。
「ねえ、このうんめいのつがいってなんだろう?」
その頃にはもう、運命の番なんていうシステムは完全に排除されつつあった。だから、当時の幼い僕らは結婚とか番とかは知ってても、運命の番なんて知らなかった。
「しらねえことばだよな」
かっちゃんと僕が不思議そうに観ているのを見たお母さんがころころと笑いながら教えてくれた。
「あら、それはね」
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